五能線全駅特集第13回
松神駅(五能線)
能代駅から1時間ほど列車に揺られて、松神駅に着いた。
しばらくホームでぼーとしていると、穏やかな海風が線路の向こうの松林を越えて、足元のハマナスの花を揺らしに吹いてきた。かすかに漂う潮の香が、なんとも心地よい。
その風に後押しされながら、三角屋根の無人の駅舎をくぐり、隣の十二湖駅を目指した。
道の脇には狭い水田が続いており、その中からカエルたちの鳴き声がしきりに響いてくる。彼らの声に耳を傾けながら進んでいくと、道と線路との間の田のあぜに、周囲の光景にそぐわぬ妙なものがあった。
おや、と思いよく見ると、それは漁船であった。
最近置かれたのか、塗装は剥げていない。海は線路の向こうの丘の下にあるので、どうやってここまで運んできたのだろうか、と不思議に思う。
貨車が倉庫代わりに線路から離れた空き地などに置かれているのは、たまに目にする光景であるが、漁船が海から離れたそんな所に置かれているのは初めて見た。妙な所に連れてこられて、漁船が当惑しているようにも見える。
松神駅と同じく、穏やかな風がそよぐ水田の中で、カエルたちの唱声が、浜辺に打ち寄せる波の如く、寄せたり引いたりしながら漁船をいつまでも包んでいた。

(松神駅ホーム)

(松神駅舎)

(駅舎の中)

(線路脇の田のあぜに置かれた漁船)
(2006年6月24日)
能代806-907@松神925・・(自転車)・・940@十二湖1022-