五能線全駅特集第3回
北能代駅(五能線)
鳥形駅から、田んぼの中の小道を南下し、隣の北能代駅を目指した。
植えられたばかりの稲の青々とした香りに包まれながら、線路沿いに伸びる一直線の爽やかな道を進んだ。やがて、その道が小高い丘に突き当たったので、いったん国道に出ると、すぐに砂利道の先に北能代の駅が見えた。
貨車を転用した駅舎の中には、この辺りの他の無人駅と同様、警察官の巡回記録簿が置かれている。どうやら2〜3日おきに警官が駅を見回っているらしい。
特にすることもないので、殺風景な駅舎からホームに出てみた。すると、西日が一杯に射すホームの上には、ドクダミが群生していた。
ドクダミは、不思議な野草である。漢方薬のような陰気な香りを葉から漂わせながら、明るい可憐な花を咲かせている。
その対照の妙に見とれていると、警察官が一人、駅舎に入ってきて、怪訝な表情を浮かべながらこちらを一瞥した。
何をしておるか、などと誰何(すいか)されると、やっかいだなと案ずる。もともと駅訪問などという、人の理解し難い変なことをしている上に、無人駅のホームにしゃがんで地面をじっと凝視し続けるという不審な行動をとっていたので、職務質問されると弁解しにくいな、と少し焦る。
が、彼は私と目が合うと、何も言わずにくるっと背を向けるや、くだんの帳面に日付を記入し、サインをした後、スタスタと駅舎から出て行った。職業的勘から惟うにこいつは少し頭の調子がおかしいようだが悪い奴ではなさそうだ、と判断したのかもしれぬ。
彼の車が立てる土ぼこりを眺めながら、なるほど、このようにして無人駅の治安が保たれているのだな、と納得したものの、それにしても早く列車が来ないかな、と思った。

(北能代駅ホーム)

(貨車を再利用した北能代駅舎)

(駅舎の中)

(ドクダミの花がホームに咲く)

(鳥形駅から北能代駅に至る田の中の道)
(2006年6月23日)
-1503@鳥形1540・・(自転車)・・1555@北能代1624-1629@向能代1638-