備前福河駅(赤穂線)
10月のよく晴れた日、電車から降りて、がらんとした駅舎を抜けると、真正面に木が立っていた。その手前左手には、集落へ至る細い道が伸びている。
木よりも道の方が気になったので、その道を少し進んで、西日の先にある集落の方を見透かした。が、集落はひっそりとしており、どうやら店の類はなさそうであった。そこで、道を歩いて行くのは止めて、次の電車を待つべく、また駅舎の方に引き返そうとして、ぎょっとした。
駅前の木に桜の花が咲いているのである。
花をよくのぞいて見ると八重桜であった。幾重にも開いた花びらが、おしなべて駅の方を向いている。
赤穂線沿いは山陽路でもとりわけ暖かいので、桜の木が季節を間違ったのだろうが、この辺でも珍しい現象なのであろう。集落の方から電車に乗りにやって来た初老の男の人が、
「ありゃ、桜が咲いとる」といって、怪訝な表情をしながら、私と桜とを見比べた。

(備前福河駅ホーム)

(備前福河駅舎)

(備前福河駅前)

(駅前の八重桜は10月に咲いていた)
(2006年10月15日)
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