大越駅(磐越東線)
大越駅のホームに列車から降りると、辺りに石灰の香りが漂っていた。
ホームの向こうには積み出し用の倉庫が建っており、草に埋もれた数本の側線がその前に並んでいる。どうやら比較的最近まで、ここからセメント列車が出ていたらしい。
少し離れた所には、石灰岩でできた山が聳えていた。山が段々に切り崩されて、白っぽく平らになっている。そのそばにある工場はセメント工場なのであろう。九州の日田彦山線の香春駅などでも見た覚えがある光景であるが、それにしても随分景気よく山を削ったものだな、と思う。
駅舎から出ると、駅前に2体の像が立っていた。説明板によると、たいそう旧い甲冑を身に着けた方は、昔、大和朝廷が蝦夷討伐のため、坂上田村麻呂を大将として、この地に攻め込んできたときに、戦って敗れた鬼五郎という地元の人物であり、横に立っているもう片方は、その弟らしい。
鬼五郎が弟に曰く「おまえは生き残ってこの早稲川の里を立派に守ってくれ、わしは死んでも鬼となって早稲川の栄えるのを見守ろうぞ」。
早稲川の里とは、この辺りを指すのだろうか。その鬼五郎もこの里が栄え栄えて千数百年後、立派なセメント工場が建つまでに至るとは、予想だにしなかったことであろう、と思った。

(大越駅舎)

(ホームの向こうには、側線と積み出し用の倉庫が残っている)

(大越駅前に立つ鬼五郎とその弟の像)
(2006年8月27日)
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