姨捨駅(篠ノ井線)
姨捨は、寂しい里山の中にあるスイッチバックの駅である。
この駅に停まる普通列車は、松本方面から来る下り列車の場合、本線から分かれ、そのまま姨捨駅に入る。そして、姨捨駅を発車するときは、向きを変えてバックでいったん退避線に入り、それから、さらに向きを変えて長野方面へと本線上に出て行く。
かように手間がかかる駅なので、特急列車はもちろんのこと快速列車もこの駅には入らず、本線上を通過する。
私が松本駅から乗ってきた下りの普通列車は、本線からゆっくりと分岐すると、そのまま姨捨駅のホームへと入って行った。
いつも本線上から眺めるだけであった、スイッチバックのこの駅に、ようやく来ることができたな、と思いながら降りると、旧い木造の駅舎が建っていた。ガランとした無人の駅舎の中を少し覗いた後、跨線橋を渡り、今度は反対ホームから外を眺めた。
眼下には、善光寺平と名付けられた、だだっ広い平野が開けている。その真ん中を千曲川がゆるやかな孤を描いて長野の方へと流れていた。昔、謙信と信玄が、ここで川中島の合戦を飽きもせず何度も行った場所であるらしい。
その雄大な光景に見とれていると、やがて、松本方面に戻る上り列車が入ってきたので、乗り込んだ。
姨捨駅を出発し、そのままかろやかに速度を上げる列車の中で、姨捨駅の余韻に浸っていると、ふとあることに気づき、あっと声を上げそうになった。
私は、スイッチバックを味わいたいがために、早起きして、姨捨駅までわざわざ足を伸ばしたのに、姨捨駅に下り列車で着いて、上り列車で出発したのでは、どちらも待避線に入らず、スイッチバックしないので、普通の駅に行ったのと変わりがないではないか、と思った。

(姨捨駅舎)

(姨捨駅ホーム)

(姨捨駅のホームから本線を眺める)

(姨捨から乗った電車は、車両の端の方を区切って、荷物室にしていた)
(2006年8月12日)
松本839-925@姨捨930-1016松本1019-1105@薮原1114-1120@宮ノ越1137-1206@洗馬1241-1250@贄川1329-1334@日出塩1401-1411@木曽平沢1500-1523@原野1533-1548@奈良井1556(54分遅れ1650発)-(快速ナイスホリデー木曽路)-1632(42分遅れ1714着)@上松1654(26分遅れ1720発)-1701(25分遅れ1726着)@倉本1727(7分遅れ1734発)-1740(8分遅れ1748着)@木曽福島1938(20分遅れ1959発)-2037中津川2054-2213名古屋2220-2245岐阜