五能線全駅特集第4回・第5回
沢目駅
隣の東八森駅から国道を通って沢目駅に着くと、駅前には、同じ色をしたタクシーが数台並んでいた。こんな田舎の駅にタクシーが停まっているなんて珍しいな、と思いながら駅舎の玄関脇に何気なく目をやって驚いた。
そこには、看板が掛かっており、「一般乗用旅客自動車運送業○○○観光タクシー沢目営業所」と麗々と書かれていた。 駅舎がタクシーの営業所になっているのを見たのは初めてだな、お互い商売敵のはずなのに随分仲が良いことだ、と思う。
中に入ると、左半分が待合室、右半分がタクシーの事務室になっていた。その事務室の壁には「安全運転」「夕暮れ時は早めのライト点灯を」などといった文字が並んでいる。その下では、運転手が二人、待機中なのか、椅子に座ってこちらを眺めていた。
そこで委託駅なのかと思い、彼らから切符を買おうとすると、
「ここでは売らないので、車内で」という。純粋にタクシー業務だけをやっているらしい。
タクシーに乗るわけでもないのに、タクシーの営業所の中でじっとしているのもなんとなく落ち着かないので、荷物を置いたままホームに出てみた。
陽光を正面から浴びて白々とした砂利のホームの上に立つと、駅をまたぐような形で能代寄りに立派な歩道橋がかかっているのが目に入った。どうやら、ホーム向かいの木立の中に隠れている小学校への通学路として利用されているらしい。
その橋の袂の方からは、機械で夏草を刈る音が、ジラリジラリと響いて来る。なんとなくその音を耳で追っていくような気持ちで数分間聴いていると、妙なことに気づいた。
一般に、タクシーの営業所というものは、電話や無線などの物音がして騒々しいはずである。が、どういう訳かここでは、草刈りの機械音の他には、運転手同士が時折思い出したようにぽつりぽつりと喋る声が響くだけなのであった。

(沢目駅ホーム)

(能代寄りにかかる歩道橋)

(沢目駅舎)

(駅舎の中 右半分がタクシーの事務室)
(2006年6月23日)
-1406@東八森1415・・(自転車)・・1440@沢目1459-1503@鳥形1540・・(自転車)・・
==(これより下は、
2008年2月14日に掲載した記事を再掲したものです。写真は一部新しいものを載せています)==
鳥形駅
鳥形駅から列車が出て行った後、ホーム上にある古い待合室に入り、長い木の椅子の上でくつろいだ。
目の前は、線路の向こうに風除けのフェンスがずらずらと連なっている。ホームの先には、JRの風速計がからからと乾いた音を立てて回っていた。冬の風は相当なものなのであろうが、今は田植えが終わった時期であり、稲の葉先にわずかに筋を示す程度である。
ホームから降りるには、ホーム中央から田のあぜに至る階段と、ホーム先端から道路へ通じる階段とがある。どちらの階段を使っても良いのだが、何気なく待合室のそばのホーム中央の階段を用いることに決めた。そして、二、三段、足を下ろしたところで、はっとした。
階段の真ん中あたりに、シマヘビの抜け殻がからみついている。屈んでつまんでみると、長細い紙のようにひらひらと風になびいた。脱皮するのに駅の階段を用いるなぞ、なかなか器用なことをする蛇だと思う。水田からホームに上がって列車を眺めた帰りに、ついでに脱皮したのだろうか。
ふと、蛇の抜け殻は縁起物であり、財布の中に入れておくと金が貯まる、という迷信を子供のころ聞いたのを思い出して、どうしようかと思った。が、店などで、蛇の抜け殻の切れ端がついた硬貨を女店員などが受け取って見たら、仰天するであろうから、それは止め、抜け殻を田のあぜに置いてそのまま道路に出た。

(鳥形駅ホーム)

(待合室内部)

(蛇の皮がこの階段にからみついていた)
(2006年6月23日)
・・(自転車)・・1440@沢目1459-1503@鳥形1540・・(自転車)・・1555@北能代1624-