氷帝夢5話目です。
今回は忍足とかジロちゃんとかちょっと逆ハー?(でもジロちゃん寄りな気も;)かな?
ヒロインちゃんの事とかも、ちょっと触れていきます。
傾向としてはちょっと鬼畜?のちほのぼの、って感じ・・・ですか?(何だそれ・・・そして聞くな;)
それでは続きからどうぞ☆
・・・・・・あの夢を見た。
久しく忘れていた、あの夢。
どんな夢かは起きた時には忘れたし、分からない。
いつもそうだ。
夢と呼べるものなのかは分からない。
だけど何かを、見ていることは、確か。
そして、
嫌って位、思い知らされる。
忘れるな。私は、
shady,shady,sunshine.[5]
「おはよう。ちとせちゃん・・・って、どうした!?顔色、悪いぞ?」
朝一番に顔を合わせたのは家の寺で修行をしている僧侶の利慧さんだった。
「・・・・おはよう。利慧さん。・・・大丈夫・・・ちょっと・・・眠れなかった、だけだから・・・。・・・いってきます。」
「おいおい・・・そんな顔色で、しかもふらふらじゃないか。今日は休んだ方が・・・。」
「・・・・いい・・・。」
「ちとせちゃ・・・。」
「ちとせ。」
すると、そこに落ち着いた優しげな声がかかった。
「・・・・・・・・・・おじいちゃん・・・・。」
「和尚。」
そこに立っていたのは、この寺の住職の智念和尚。
そしてちとせの祖父であり育ての親である。
「・・・利慧君。悪いが、白湯を持ってきてくれないかな?」
「え?あ・・・はい。」
利慧は、台所へと姿を消した。
「・・・夢見が・・・悪かったんだね?」
「・・・・・・・・・。」
「・・・うん・・・とにかく・・・学校へ行くなら・・・朝食が無理なら、せめて・・・薬は、飲んでいきなさい。・・・いいね?」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・ちとせ・・・約束、しただろう?・・・お願い、だよ。辛いなら、おじいちゃんの為、と思ってくれ。」
おじいちゃんの言葉に、素直に頷きたい。
だけどどうしても、頷けない自分が、居て。
いつもいつも、おじいちゃんに、酷な役回りをさせている私は、卑怯者・・・いや・・・。
疫病神、と言った方が正しいか。
「和尚。白湯を、持ってきました。けど・・・。」
そこにやってきた利慧は、何とも言えない空気に一瞬たじろいだ。
ここで修行して長い筈で、こんな空気もたまに遭遇しているが、何時までたっても、慣れない。
いや、というか・・・入れない・・・。
「ああ・・・・ご苦労・・・ちとせ・・・。」
「・・・・・・・・・・・分かった。」
ちとせは通学鞄からピルケースを取り出し、利慧から白湯を受け取り、その中の薬を飲んだ。
「よし。いい子だ・・・気をつけていっておいで。」
そう言ってぽん、と優しく頭を撫でてくれるおじいちゃん。
優しい、おじいちゃん。
・・・・・・・可哀相な、おじいちゃん。
お願い、だから・・・。
「・・・・・・・いってきます・・・。」
居た堪れない気持ちで、家を出た。
+++++++++++++++
「・・・・・・・和尚・・・。」
「ん?何だい?利慧君。」
「ちとせちゃんって、その・・・・どっか悪いんですか・・・?長年見てますけど・・・ずっと薬飲んでるし・・・たまにあんな風に具合悪そうにしてますし・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・あの子は・・・・何にも悪くないんだよ。何にも・・・・。」
「・・・・?」
(・・・・『お願い・・・おじいちゃんの為・・・』か・・・。)
「・・・・利慧君。」
「・・・?はい?」
「私は・・・とんでもない卑怯者だね・・・。」
「・・・和尚・・・。」
++++++++++++++++
「よう。ちとせじゃねーの。アーン?」
学校に着いて、朝練の準備をしていると意外にも一番に会ったのは跡部・・・と、もちろん樺地、であった。
「・・・おはよう・・・跡部君、樺地君・・・・。」
「アーン?景吾、でいいっつたろ?」
「・・・それは・・・やっぱり無理・・・。」
「何が無理なん・・・何だお前その顔色・・・。」
跡部が、ちとせの顔色にぎょっとして近付いて来る。
ちとせはそれを避けるように、
「・・・備品・・・取ってくる・・・。」
と言って足早にその場を後にした。
「って、おい!!・・・・何なんだ・・・あいつは・・・。」
「お、跡部、早ぇじゃん。」
「・・・ホンマやな・・・・。」
跡部がちとせの行動を少々疑問に思っていると、向日と忍足がやってきた。
「ああ・・・お前等か・・・。」
「おはようさん。・・・芦原さん、どないしたん?何やえらい急いどったみたいやけど・・・。」
「・・・さぁな・・・こっちが聞きてぇよ。」
「でもよ、芦原って最近、前よりかはとっつき易くなったっつーか・・・何か、いい感じに変わってきてるんじゃね?まぁ、相変わらずあんま喋んないんだけどよ。」
「ああ・・・確かに。なんちゅうか、雰囲気が柔らかくなった、ちゅうか・・・まぁ、岳人の言うようにそれが良い方向なんかは・・・俺としては微妙、やけどな。」
「は?どういうことだよ、侑士・・・。」
「・・・・ま、気にしぃなや。俺の問題やさかい。それより今問題なんは・・・。」
忍足はそこで跡部に目を向ける。
・・・・冷たい、敵意を含んだ眼だ。
勘のいい跡部は直ぐに分かった。
「・・・ちとせに何したか・・・ってことか?」
面白い。
その挑発に、乗ってやろうじゃねぇか。
「・・・ちとせ?」
「・・・一丁前に名前呼びかい・・・。」
「へぇ〜・・・あいつちとせ、って名前なんだな。そういや苗字しか知らなかったぜ。」
「・・・そうやな・・・今何したかも気になるけど・・・昨日、どうやって『落とし前』つけさせたんか、の方がもっと問題やんなぁ・・・。」
「・・・・・侑士・・・・・。」
さすがに、向日も聞くに聞けなかったことを言われて、思わず焦る。
が、跡部は動じる事無く、
「・・・・・そんなに、聞きてぇかよ?」
と不敵に笑み、
「・・・・ああ・・・ぜひ、お聞かせ願いたいもんやな・・・。」
忍足も負けじとある種の凄みを感じる笑みを浮かべた。
その裏に一物も二物も含んでいる笑みの応酬に、向日は、
(・・・・・・・・・帰りたい・・・・・。)
ただ所在無さ気にそこに居るしかなかった。
+++++++++++++++
「・・・・はぁ・・・。」
ちとせは、体育倉庫の扉に寄りかかっていた。
薬が、効いているのか朝よりはよくなったが、やはりまだ体がふらつく。
「・・・・私・・・ダメだ・・・・こんなんじゃ・・・・。」
駄目だ。こんな。本当は薬なんて飲んでもいけないだろうに。
苦しめばいい。苦しまなきゃ。私は。
だってこれは、私の罪。
「・・・芦原さん?」
誰かの、声が上からかかる。
「どないしたん?具合、悪いん?」
・・・この独特の関西弁は・・・。
「・・・忍足君・・・。」
扉にもたれ掛かりながらも何とか声の方向に顔を向けると、そこには忍足が。
「・・・大丈夫・・・。」
何とか歩き出そうとするが、眩暈で体が倒れる。
それを忍足は受け止めて、ちとせを扉の方にもたれ掛からせて座らせる。
「全然、大丈夫そうに見えへんがな・・・。」
「・・・・・・・・・・。ごめん・・・。」
「謝る事、あらへんよ。・・・保健室、行こか。そんなやったら部活は無理、やろ。」
「・・・・・いい・・・暫くこうしてれば・・・治る・・・から・・・。」
「・・・・芦原さ・・・・。」
「・・・放って、おいて・・・・。」
・・・・・・・お願い、だから・・・・。
「・・・岳人達がな。」
「・・・・?」
「芦原さん、ちょっと変わった、って。俺も思うけど、何やろな・・・雰囲気ちゅうか、空気が、ちゅうか。前は、まるで誰も入れないっちゅう空気持っとったんに。」
・・・・ああ・・・。
私、ホントに、ダメだ。
「まぁ、ええ傾向、なんやと思うよ。」
ダメ、なんだよ・・・忍足君。
「せやけどな・・・・。」
「・・・・・・・・・・・?」
「俺としては・・・・・・・・・・・・面白く、ない。」
忍足と、目が合う。
思わず、ぞっとする。
まるで、獲物を狙っているかのように、鋭い眼光。
「・・・昨日・・・跡部と、よろしくやったんやろ?」
「・・・・・・・・・・。」
「高級ホテルの、スイートで。・・・そんで、そんな具合悪そうなん?」
「・・・・・・・・・あ・・・・。」
「・・・・なぁ?」
忍足の手が、ちとせに伸びる。
ちとせは思わず後ずさるが、後ろは扉。
逃げ場は、無い。
忍足の右手が、ちとせの首を掴むように触れる。
・・・・・・・・・まるで、今にも殺されそうな錯覚を受ける。
寧ろ優しく、触れているだけなのに。
「・・・・俺なぁ・・・最近気に入ってしもた黒ネコちゃんがおんねんけど・・・。」
「・・・・・・・・?」
「誰にも懐かんで、かといって誰にも爪を立てたりせぇへん子ぉやってん。でも・・・その黒ネコちゃん、最近ちょっとずつやけど・・・周りに甘爪立てるようになってきてな。・・・面白くないんやわ。正直・・・始めは、俺のただの遊び感覚か気まぐれや、思とったんやけどな・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・俺は、その黒ネコちゃんを誰にも渡したくも無いし、渡す気もない。ましてや・・・・。」
そう言って、忍足はちとせの首に手を掛けた。
「・・・誰にも、触れられたくも無い。何ちゅうの?独占欲?その感覚が、狂っとるんやろうね。俺は。・・・でも、そのためなら・・・その子には本気で引っ掛かれてもええ、思っとるよ。もしくは・・・・。」
忍足はちとせをの首を握った手に、握力を少し掛ける。
「いっそ誰にも、触れられないように殺してまおうか?・・・緑の瞳の黒ネコちゃん?」
忍足の握力が強くなる。
「・・・・・細い、首。」
ククッ、と忍足は妖しげに笑んだ。
その時。
「やめなよ。」
声が、かかった。
「・・・・・・・・・何や、お前かいな。」
忍足の手が、離れる。
「やめなよ。嫌がってるよ。」
「・・・・・・・・・はいはい・・・ほな、な。・・・・・・・ちとせ。」
そうして、忍足が去っていき、残されたのは自分と、声の主・・・
「ちとせちゃん、大丈夫だった?忍足マジ恐かったC〜。」
芥川、慈郎・・・・。
「・・・・・だい、じょうぶ・・・芥川君・・・部活・・・。」
「ん?ん〜眠いからさぼる〜・・・。ちとせちゃんも一緒にさぼろ?ここ、日当たりよくってすっごく気持ち良いC〜。」
そう言ってちとせの隣に寝転がる。
・・・・・・正直・・・この人はちとせは何となく苦手だった。
天然なのかそうでないのか・・・とにかく、なんだか『入って』こられる感覚が恐ろしかった。それが心の中、なのか何なのかは分からないが・・・見透かす、というよりも入ってくる・・・そんな感じ。
当の本人はいつものぼんやりとした表情で空を眺めていた。
「・・・・ダメだよ・・・部活・・・行かないと・・・。」
「ん〜・・・?いいの〜・・・。ちとせちゃんも、無理しないで?何かすっごく辛そうだC〜・・・。」
「・・・・・・・・・辛く・・・なんてない。」
辛くなんて無い。無いはずなのに。
・・・・・何で、立ち上がれない?
「無理しちゃだめだよ〜・・・ね?」
「・・・・・・・・・・・・いいの・・・・もう・・・・放っておいて。」
・・・・・・・・・お願いだから、お願いだから、
「あのね〜・・・皆はちとせちゃんは、変わった、って言うけどね〜・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・?」
「俺は、変わってないと思うよ〜・・・。ちとせちゃんは、ずっと、いつも優しいもん。」
「・・・・・・・・・・・え・・・?」
いきなり、突拍子も無い事を言われて、間の抜けた声が出る。
「誰も傷付けたくない、誰にも傷付いて欲しくない、っていつも思ってる。でもね。・・・俺はね、ちとせちゃんも同じくらい、自分にも傷付いて欲しくない、って思って欲しいんだ。」
「・・・・・・・・・・っ・・・。」
何で?
何で。
お願い、だから。
・・・・・・・・・・・・・・優しくしないで。
ちとせは思わず体を縮め、顔を埋めた。
「あ、あと〜・・・・。」
ちとせは思わずビクッ、と体を震わせる。
・・・・・・・・今度は・・・・・・・どうやって『入って』くるの?
「『ジロー』って呼んで、っていつも言ってるC〜・・・呼んでくれないとかなC〜なぁ〜・・・。」
「・・・・・・・・・・ジ、ロー・・・・君?」
「マジマジ!?うれC〜!!初めて、名前で呼んでくれたC!これからも、呼んでくれる?」
「・・・・・それは・・・。」
「・・・・・・・・・・う〜ん・・・・じゃあ、二人だけのときでも、ダメ?」
「・・・・・・・何で・・・そんなに拘るの?」
芥川君も・・・・跡部君も。
「ん〜特に理由は無いけど・・・好きな人に、名前で呼ばれるの、嬉しいから!!」
「・・・・・・そう・・・・・・・・・。」
「で・・・・・・ダメ〜・・・?」
「・・・・・・・・・・・・考えとく・・・・・・・。」
「うん!考えといて〜・・・・あと・・・跡部も、呼んであげたらきっと喜ぶと思うC〜・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・!?何で・・・・・・。」
「ん?何となく!ふぁ〜・・・俺暫く寝るC〜・・・おやすみ〜・・・。」
そう言ってジローは静かに寝息を立て始めた。
日の光と・・・・・・・・何より、何故だろう。
芥川君の隣はとてもあたたかい。
まるで陽だまりの様な。
ちとせの目から、涙が零れる。
(どうか、してる・・・・・。)
ここ最近の自分は、何故こんなにも涙脆くなってしまっているのだろう。
(ダメ・・・・・・・・・ダメ・・・こんなのは。)
いけない、のに。
こんなにも、人に優しく触れられたりしたら。
それを、心地良く思ってしまっては。
これ以上、
触れられてはいけない。
触れてはいけない。
忘れるな。
あの夢。
幾度も見る、感じる。
その度に
刻み込まれるあの感情。
忘れるな。
私は、
罪の子。
だから、お願い。
「優しく・・・・・しないで・・・・。」
お願いだから。
優しくてあたたかい陽だまりが、同時にとても痛かった。
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*はい、如何でしたでしょう。忍足ご乱心の巻!!(撲殺★)
*え〜と、何だか難産な回でした。色々と詰め込みすぎた為だと思われ・・・;その分杜撰になっていないか非常に心配。本当はジロちゃんが声をかけた場面で一端切ろうかと思ったのですがそうすると私のやる気というか色んな物が切れるだろうな、と思い無理矢理繋げてみたけどそれが正解だったのかは謎。
*特に難産だったのはジロちゃん。「C」しか言わせてないよ!!ああでも忍足もかなり難産でしたが;特にこの2人は私の中で性格が安定していない感じ、というか逆に言うとどんな風にも書ける感じなので・・・ジロちゃんは白か黒か両刀かみたいな感じなんですが忍足はアホキャラ、いじられキャラ、冷酷キャラ、傍観者キャラ・・・加えてイケメンなので・・・。キャラ自体は立ってるはずなのに特に性格面で扱いどころが意外と難しいです;今回は鬼畜系キャラ(?)な感じで書きました・・・・あー・・・でも何か違和感・・・やっぱ忍足はいじられアホ路線じゃないと・・・(オイ
*今後も書ける時に書いていきたいなぁ・・・と思っています。
お付き合い頂けると嬉しいです。
*それではここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
宜しければご意見、ご感想等、下さると嬉しいです。