誤解をおそれずに言うならば,ハウスメーカーになりたいと思う.
そういうことを言うとまず理解してもらえない.建築家仲間などにうっかり話してしまった暁にはきょとんとされて変人扱いだ.我々建築家という職業は常にハウスメーカーとは対極にあると考えられている.我々のセールストークもまたハウスメーカーを否定するところから始まる.施主もまた,ハウスメーカーには満足しない人達が救いを求めてやってくる.そこに我々の存在意義があるからだ.
ハウスメーカーを何軒も見てきたけれど満足のいく家はひとつもなかった,とうちに来る施主はそう打ち明ける.そうだろうなと思う.僕には目の前の施主を満足させる家を設計する自信がある.だからこそ,僕はハウスメーカーになりたいと思う.
クリエイティブなハウスメーカーになりたい.なったらまずいだろうか.建築家の沽券に関わるだろうか.ただ僕はこれまでの経験を踏まえてこう思う.人が気持ちがよいと思う空間は,誰が見ても気持ちがよい.暮らしやすい家は誰が住んでも暮らしやすい.
住まい手の個性と言うけれど,ごく一握りの特殊な嗜好をお持ちの方(要するに変わり者.失礼!)を除いては,皆ふつうに暮らしやすい家に暮らしたいのである.何を隠そう僕自身がそうだ.家なんて普通が一番いい.何も世間をアッと言わせなくても,家族がのんびりあくびができる空間があればそれでいいのだ.
それは本来ハウスメーカーの得意分野である.ただ僕が見たってハウスメーカーの家に住みたいとはこれぽっちも思わない.そこには魅力がないからだ.企業の論理で合理的なだけの家に,こだわりを捨てて入居する人はいるだろうけれど,積極的に好き好んで住まう人はどれだけいるだろう.僕ならもっと気持ちの良い家をつくることができる.だから僕はハウスメーカーになりたいと思う.
それもクリエイティブなハウスメーカーに.
それが僕の今の偽らざる気持ち.もちろん今後もリオタデザインとしての活動は何も変わりません.ただ,もしかしたら今後どこかでチャンスさえあれば,そういう動きをどんどん仕掛けていこうと思っています.さて10年後にはそれがどんな活動になっているでしょう...フフフ.
今後の家づくりのあり方に一石を投じていきたいと思っています.