P1が終わってプレゼンを聞いた複数の人に言われたのは,「話がうまい」とか「ひきつける」とか,はたまた「物が売れそう」とか(笑),とにかく話すことに慣れた人のように言われたのがすごく意外だった.
というのも,僕は昔から人前で話をするというのが極端に苦手なのだ.それは今でもそうだ.
対人恐怖症とまではいかないけれど,人見知りが激しくて人の前に出るとあがってしまい,頭の中が真っ白になってしまう.だからいつもどちらかというと目立たないように大人しく生きてきたし,自分ではどちらかというと無口な部類の人間だと思っている.
実際,P1の後の打ち上げの席では,他の建築家達の圧倒的な”話術”に圧倒されてしまって,僕が出る幕なんてこれっぽっちもなかった.そう,それが僕の本来の姿であり立ち位置なのだ(と自分では思っている).
それがどうやら周囲の目とは微妙に違うらしい.気心しれた仲間などに「ほら僕は無口だから」というようなことを言うと,つまらない冗談としか受け取ってもらえないことが多く,そうなんだそういう風に思われているんだと自分でも少し混乱する.
ただこれだけは自分でも自覚しているが,クライアントを前にすると僕は自分でもびっくりするくらい饒舌に,落ち着いて物事を説明することができる.自分でも思いもよらなかったような事を口走っていることもあって,自分で自分にびっくりしてしまう.
どうしてそうなるのかは自分でもわからない.おこがましい例えかもしれないけれど,テレビではおどけたキャラクターの俳優も舞台に立った途端に人が変わってしまうように,自分のどこかにもそういったスイッチがあるのかもしれない.
P1の時はしゃべる直前までは口から心臓が飛び出しそうな程緊張していたのに,舞台に上がって口を開いた途端にスイッチが入った.のぼせた頭がすぅっと冷静になって,あとは録音テープを再生しているように口が自然に動いてくれたので助かった.
今回と似たような経験をしたのが大学の卒業設計を提出した時.派手さには欠ける僕の作品は周りの話題にも上らず蚊帳の外だった.それが口頭でプレゼンテーションした途端に逆転してしまった.これまでに1等賞を取ったのは今回とあの時だけである.もしかしたら,これが僕の中の必勝パターンなのかもしれない.