北野「市橋が捕まりましたけど、なんやようわかりませんな」
竹内「なんなんでしょうねあれは」
北野「いまどき身元も確認せず雇うか?それがわからんわ」
竹内「西成の日雇いで入ったと言ってましたね」
北野「いくら西成でも住み込みでっせ」
竹内「まあ普通ではちょっと考えられませんけど」
北野「考えられへんよ。この不景気になんやねんそれ」
竹内「建築業界はどこも大変ですからね」
北野「そやろ。すぐに住み込みの仕事があって、そこそこの金がもらえるて」
竹内「ちょっと”それホンマ?”って思っちゃいますよねえ」
北野「仕事がないて言うてみんな苦しんでるの、じゃああれなんやねん」
竹内「いろいろ話は通ってるんですよ。でもよくわからない」
北野「そやねん!話は通ってんねん!」
竹内「なんていうか、安い脚本って感じしませんか?」
北野「するよなあ。ツッコミだらけやんこれ」
竹内「逃げてる間、建設会社で働いてました」
北野「住み込みでお金稼ぎました。社員は気づきませんでした・・・アホか!」
竹内「ちょっと聞いたら”そんなもんかなあ”って思わせるんですよ」
北野「思わせるねんなあ」
竹内「っていうかね、そもそもの話ですけど」
北野「なんですか?」
竹内「いや、これはあくまで僕の個人的な想像ですよ」
北野「もったいぶらんと言いなはれや」
竹内「市橋って・・・ホンマに殺してるんですか?」
北野「えっ?なに?」
竹内「いや、だから、市橋ってホンマに殺してるんですか?」
北野「殺してるやろ!アンタなに言うてんねん」
竹内「一応は死体遺棄なんでしょ」
北野「そうやけど、でも殺してるやろ。そやから逃げたんちゃうの」
竹内「そこがわからんのですよ。こんなもん逃げ切れないでしょ」
北野「ちょっと待って!じゃあ竹内さんはどう考えてんの?」
竹内「もう一人、外国人の女性がいるんちゃいますか」
北野「外国人の女性??」
竹内「市橋がリンゼイさんに惚れて、でも相手にされなかったんですよね」
北野「そうや。だから殺したんやろ」
竹内「普通は相手にされてないんやったら他を探しますやん」
北野「よっぽど好きやったんちゃうん」
竹内「リンゼイさんとトラブルになってたのは市橋だけですか?」
北野「それは知らんけど・・・え?他に犯人がおるってこと?」
竹内「仮にリンゼイさんとトラブルになってる女性がいるとしますよ」
北野「いるとします、はい」
竹内「その女性が故意か過失か、リンゼイさんを殺してしまったと」
北野「はいはい」
竹内「女性は困って自分にアプローチしてる市橋に電話したと」
北野「ええっ??」
竹内「市橋が駆けつけて、後は任せろって言うたとは考えられません?」
北野「なんでそんなこと・・・」
竹内「僕らもありましたやん。好きな女が困ってたら安請け合いしたりとか」
北野「ありましたありました。エエとこ見せよ思て」
竹内「市橋も同じなんじゃないですか」
北野「そうやって女の気を引こうと・・・ありえるなそれ」
竹内「ところが市橋だけ警察に目をつけられて、慌てて逃げたと」
北野「逃げたと・・・そうか、逃亡中の資金はその女が出してたんか」
竹内「ですよ。だから彼は二年以上も逃げてたんですよ」
北野「いずれその女と一緒になろうと思てたんやな」
竹内「それがあったから耐えれてたんでしょ」
北野「女にすれば市橋を犯人にしたほうがエエわな」
竹内「市橋にはそんなこと言いませんよ。甘いこと言うてたはずですわ」
北野「じゃあなんで市橋はいまになって表に出てきたんですか?」
竹内「そりゃ女が出国したんですよ」
北野「あ!連絡とれんようになって焦ったんか!」
竹内「市橋は警察署でも黙秘なんでしょ。女をかばってるんですよ」
北野「それでか。メシを食わんのは女がいなくなったショックか」
竹内「でも、たぶんまだ女を信じてると思いますよ」
北野「ヒーロー気取りなんやろうな。なるほどなあ」
竹内「そう考えると哀れな男ですよ」
北野「竹内さん、これ意外と当たってるかもしれませんで」
竹内「サイキック的にはこれが真実ですよ」
北野「さっき個人的な想像って言うてましたやん」
竹内「まこっちゃんが納得したらこれが真実になるんです」
北野「いや、でもホンマにそう思えてきたわ」

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