19日に8名の参加で横浜にある三菱重工風車工場見学を行いました。

最初に金沢工場にある風車のプロトタイプを見学しました。100mを優に超えるこの2400kw機は、大空にひと際高くそびえたっていました。

三菱重工業梶@風 車事業ユニット量産推進課主席かつ(日本風力エネルギー協会 理事)である上田 悦紀さんの軽妙かつ熱心で丁寧な説明に子どもたちはもちろん、みんなが風車ファンになってしまいました。(^◇^)失礼にも、「もしかして、学生時代は落研(落語研究部)に所属していたのですか?との問いに、「いやぁ、基本的に関西人やから、ついオチを考えて話をしてしまう・・・」と笑っていらっしゃいました。

タワー内で作業をされている方も親切で、いろいろな質問に応えて下さったので、参加した子どもたちは、写真を撮ったり、一生懸命にメモをとっったりして調べる姿が見られました。

驚いたのは、この70mもあるタワーの中を駆けのぼる作業員のスピードでした。この巨大な風車には、めずらしくエレベーターもついているのですが、作業員の方は命綱をつけると信じられないスピードで梯子を使い、頂上を目指します。ヨイショ、ヨイショではもちろんなく、タンタンタンというリズムでもなく、タタタタという♪リズムで頂上を目指し、作業を行うのです。彼らは、空調のない塔内での危険な作業のために毎日何往復も塔内を昇降するというのですから、驚きです。夏暑く、冬寒く、高所での作業を伴う過酷な仕事に従事し、風車の安定した発電に寄与している彼らの仕事ぶりに感心させられました。

風車の翼は、研究の過程で様々な変化をしてきたということですが、アルミのような軽量金属では、金属疲労のために破断するため、現在のガラス繊維を素材としたものに置き換えられてきたそうです。巨大な型に丁寧にガラス繊維を敷きつめ、皺などがないように製造することは、とても困難なのだそうです。少しの誤差や手順の狂い、作業員の集中力の欠如などで製品の精度は落ち、重大な破損事故につながる恐れがあるのだそうです。日本製の風車には、他国にないほどの精度と品質があるということでした。「3本建てて2本動けばよい」という安価な粗製乱造もあったという海外風車との優位性を感じました。

この巨大な翼を支えるハブと言われる部分の強度は、高い鋳造技術が必要です。

翼は、一点で支えられますから、無数の強固なボルトで固定されています。

翼自体は、しなやかで、強風に前後方向はたわみながら回転します。しかも、鋭利な刃物のような鋭い形をしています。

しかし、巨大なものだけに、作って置いておく場所が日本にはなく、海外で技術指導をしながら生産することが多いのだそうです。
日本は、狭い島国ということで、海外に比べて風車を建てる環境は整っていません。そんな中で、
台風の強風にも耐えられるように試作を繰り返したり、強度試験を行ったりして、製品化を行っています。ここには、良い物を作ろうというとても「熱い心」が感じられます。例えば、タワーの強度を増すために、塔内の出入り口のドアとその周囲をとても丈夫に作るといった工夫もされています。塔に開いた穴であるドアは、補強が足りないとそこから折れる原因となるからです。

雷に対する対策もたくさんなされていました。多くの風車の事例を研究し、「良いモノを作ろう」という取り組みは、これからもなされていくでしょう。こういった「ものつくりの人たちを大切にし、厚遇される健全な社会が育っていくといいのに」と上田さんの話を聞きながら思いました。
風車だけでなく、風車を作っている本牧工場内も見学させて頂きました。20年の使用に耐える丈夫な歯車の製造はもちろん、数トンから数十トンもある部品の組み立てや移動をテキパキと行う様子が見られましたが、残念ながら写真は撮影できませんでした。「歯車の製造」は福岡の直方の工場で、見学した本牧工場は完成した増速機を持ち込んで組立てているのですが、完成した風車の重量は「数百トン」にもなり、建設工事では、超巨大なクレーンが活躍することになるということでした。
工場内の様子を含め、多くの情報がつまっている、
三菱重工の風力発電プラントのホームページを見て、勉強してみるとよいなと思いました。
終わりは、会議室での質疑でした。連日訪れる、政府の高官や経営者などはもちろん、大学での講演のための数百と並ぶ説明のための自作資料やプレゼンテーションから質問の内容に合わせ、時には、1分に二万回転もする魚雷のスクリューの話や洋上風車を釣りの浮きに見立ててのわかりやすい例えを使って、子どもたちの質問にも丁寧に応えてくださいました。
私からの、いじわるなシステムダウンした時の風車やこのごろ聞かれる低周波騒音の問題にも率直に、飾ることなく応えてくださいました。そこには、「原因が明確になれば、必ず解決してみせる」という技術者魂のようなものも感じられました。
長時間の説明にいやな顔ひとつせず、私たちをまるで「来賓」のように扱ってくださった上田さんに子どもからも、自然に感謝の言葉が寄せられました。
上田さんの工場は、社会見学の引き合いも多いそうです。修学旅行の候補地の一つとしてテーマパークではない、「夢」を追う人たちの姿を見せるのもよいのでは!と思いました。実際の風車事業を支えているのは、現場で働く一人一人なのです。地球環境を守るために技術開発をし、より良い製品を世に送り出そうとする人々が、より厚くもてなされ、もっともっと尊敬されることで、多くの子どもたちがそこを目指すようになればよいのになと思いました。

5