アマゾンドットコムの光と影
絶妙なタイトルだと思う。
私もアマゾンを大変便利なシステムだと思い
そのサービスを頻繁に利用している人間の一人。
ただ少し考えればわかることなんだろうがその
良質なサービスがどのように保持されているかを
リアルな形で見せ付けられると正直気分は暗くなる。
本文中にも出てきたが、この本で紹介されている
アマゾンの状況は日本を含んだ世界の企業の
将来像の象徴だろう。
以下、本文の気になった点の引用
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日経連の報告書
バブル崩壊後の日本経済の低迷に鑑み、総人件費の抑制と
手段として雇用ポートフォリオ導入を強く呼びかけていた。
それによると
1.長期蓄積能力活用型グループ
2.高度専門能力活用型グループ
3.雇用柔軟型グループ
アマゾンドットコムの場合
1.アマゾン社員
2.日通社員
3.アルバイト
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センターで働くアルバイトの何人かに聞いてみたところ
アマゾンで買い物をしたことがあると人は一人もいなかった。
つまり、センターを這いずり回るようにして本を探す人と
自宅のコンピュータから本を注文するひとは違う人たちなのだ。
アマゾンの安くて迅速なサービスを享受するひととそれを
可能にするために労働力を提供している人は別に階層に属している。
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自動車絶望工場 トヨタ自動車の工場潜入ルポについて書かれた本
トヨタが肉体労働で、アマゾンが軽作業だという違いはある。
しかし共通するのは払った賃金以上に働かせる仕組み。
トヨタはベルトコンベアで労働者を、アマゾンは一分3冊というノルマでアルバイトを縛りつける。
もう一つの共通点はどちらの職場でも仕事が細分化されているので
自分が何をしているのかよくわからないという点。よって
やりがいや達成感を感じることができない。
こういった作業現場では考えることはすっかり放棄して
上からの指示通りに体を動かすことが求められる。
本当は機械化したいのだけれども細かくてまだできない作業を
人手でやっているに過ぎない。機械代わりに人間が働く職場に
おいて考えることが歓迎されていないのはモダンタイムスのころと寸分も狂わない。
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アマゾンマーケットプレイスについて
新品よりも安い中古商品を同じサイトに載せることで自ら商売を邪魔しているようにも見える。しかしちょっと考えて欲しい。アマゾ
ンがそんなことをするはずがない。となると理由はただひとつ。新品が売れるより中古商品が売れるほうが得なのだ。
本文によると日本で3000円の本が売れても利益としてアマゾンに残るのは30円ほどらしい。しかしマーケットプレイスで3000円の本が
売れるとアマゾンにはざっとみつもって少なくとも100円は入る。在庫ももたず配送もせずに100円儲かる。
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アマゾンの今後
アマゾンが今後日本で大化けするかどうかは仕入れ価格を変えることができるかにかかっている。
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既存の書店について
日本の出版業界の流通を非効率にしているものは再販制度と
返品自由の委託販売が組み合わさったところにある。
これによって顧客に接している書店は本の値引き販売も許されず自分たちの裁量で本を仕入れることも難しい。
しかしどちらの方が害が大きいかといえば私は委託販売だと思っている。
なぜか?
小売業で一番大切な機能である、「何が一番売れるか」を考えることを放棄させている。
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アマゾンとその他の書店をわけるものは何か
それは需要予測精度の差異。
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今後の社会に対する懸念
現在、トヨタ自動車までもが派遣社員という安価で手軽な労働力を使おうとしている。
日本の職場が今後ますますアマゾン化していくことは明白
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締めの言葉が説教すぎず、口調が重苦しすぎず、しかし現状を正確に伝えいて、その程度の具合が絶妙。
階層化社会ははたく人間をエリートと非エリートにわけていく。
そこでは「考えること」はエリートの仕事であり、手足となってはたくのは非エリートの仕事だ。
...
現代人はアマゾンに代表される熾烈な国際競争を勝ち抜く
ニューエコノミーの恩恵を受けている。しかしさらに細分化
されていくであろうこの労働格差と繰り返される競争は果たして
人を幸福にするのだろうか。
ワンクリックの向こう側ではその要求にこたえるために確かに誰かが働いている。
ネット社会の便利さを享受することがIT企業の舞台裏で働くひとの自尊心を損なうことと無関係ではなく、ひいてはわれわれの生活
基盤である社会全体を不安定なものにしていくのかもしれない。
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