クルト・アイヒホルン指揮リンツ・ブルックナー管弦楽団の演奏で、ブルックナーの交響曲第2番ハ短調を聴いた。
カメラート・トウキョウ【30CM-195~6】というディスクで1991年3月の録音。
素朴で豪快、委細構わぬ美しさが滲み出ている、と言える。
ときにラッパがうるさく大技小技もないが、曲への愛情に基ずく各楽器の生きた音色と自然なアゴーギクが、優しく身にしみる。
ライヴではないのに、小さな技術的ミスも残っている。しかし、音楽は生きているのだ。
虚飾のない名演。
キャラガンによる1872年稿だが、2005年出版のII/1とは違う部分が多い。
その違いなどをメモしておく。
●第1楽章
134小節:ホルンとトランペットのリズムが2回とも3連符の付点で、ハース版と同じ。
251小節:展開部の途中でテンポが落ちる味わい深いところだが、楽譜(II/1)には『Etwas langsamer』と書かれている。
446(ノーヴァク版の434)小節〜:トランペットのリズムが3連符の付点で、ハース版と同じ。
580小節:終結部分。II/1にはないが、ハース版と同じようにトランペットを吹かせる。
発音が怪しかったりスラーが滑らかにいかなかったりの、魅力満載のウィンナホルンに痺れる。
●第2楽章 SCHERZO
トリオのややのんびりしたテンポ感が嬉しいし、トロンボーン・ティンパニの強奏・強打が粗野で野性的な魅力を醸す。
たぶん楽譜通りだと思う。
●第3楽章 ADAGIO
159小節〜:ハース版と全く違う主題三現部分だが、フルートの動きのフレーズにクラリネットを重ねている。161と163には、ホルンも重ねているかも。
181小節:コーダの直前にチェロのピツィカートが残る。ハース版と同じということだ。
この楽章もウィンナホルンの美しさを堪能出来る。不自由な美しさ。
●第4楽章
231小節〜:展開部の手前の木管だが、単なる延ばしになっているか? 切って吹き直しているか微妙。
367〜369小節:ティンパニなしだ。なんで?
445小節〜455小節:再現部の手前、楽譜はハース版と同じだがティンパニをロールで埋め尽くす。
コーダのホルン(765・768・771、ノヴァク版の660・663・666)はリズムが間違ってる。いくら速めに動き出した方が良いといっても、あれはやり過ぎ。既に別のリズムだ。
最後14小節で音量を上げる。
最後から2番目の和音が微妙にタイミングがずれて鳴る。それまでのテンポのタイミングよりはやいのだ。
スケルツォやフィナーレ終結のメトリークの不揃いが如何にも初稿らしい。
ところで、なんの躊躇もなくウィンナホルンと書いたが、リンツ・ブルックナー管弦楽団のホルンってウィンナホルンか?
デイヴィスのディスクでは、良い音だとは思っていたけどウィンナホルンとは考えなかった。
でも、アイヒホルン盤は明らかにウィンナホルンの音だ。
その意味でも価値がある。