「馬鹿と天才は紙一重って本当かな?」
俺は唐突にマリーコにそう聞いた。
「そうよ」
裸で俺と抱きあっているマリーコはそう答えた。
家柄がいいというだけで、顔も頭も悪い俺にはもったいないくらいマリーコは美しい。特に美しいのはパッチリとした二重まぶたの瞳。俺の薄っぺらい一重まぶたに比べると・・・。いや、比べるのも申し訳ないくらい美しい瞳なのだ。そして、それ以上に魅力的なのはその優秀な頭脳。俺の疑問なんかにはたちどころに答えてくれるのである。
「そうか。紙一重か。」
「そうよ、両極に見えるものだって。その違いはほんの少しって事よ。」
頬を少し紅潮させながらマリーコは俺の腹の下で言った。
「だったら、僕とマリーコ、もっというなら男と女も紙一重かい?」
「そうよ。男と女だって紙一重よ。フフフ。でも今のあなたと私は「紙一重」じゃ、なくて「ゴム一重」ね」
「そうかい?ウッ。イキそうだよマリーコ」
「マ、マ、マ、マリーコ。イッても、イッてもいいかい?」
「いいわよ。来て」
「ア、ア、ア、ア、ア、イ、イ、イ、イ、イ、ウッ」
「あなた、今日はいつにも増して早かったわね。」
「ああ、今日は特別に良かった気がする。マリーコ、もう寝ようか」
「ええ、あなた」
俺は、マリーコから陰茎を引き抜いた。
「マ、マ、マリーコ」
「何?あなた」
「ゴ、ゴ、ゴ、ゴムが」
「あら、ついてないじゃない。どこに行っちゃったのかしら?あ、あんなところに、きっと途中で外れちゃったのね。」
「ど、ど、どうしよう」
「心配ないわよ。私って妊娠しにくい体って事あなたも知っているでしょう?今までだってどんなに頑張っても子供はできなかったじゃない。その事で周りの人たちから色々言われたりもしたわ。今回だって大丈夫よ。そんなことより、今日は「紙一重」でも「ゴム一重」でもなかったわね。あなたは包茎だから「皮一重」だったのね」
妊娠を心配する俺の顔を見ながマリーコは言った。
「ほら、明日の仕事に差し支えちゃうわ。もう寝ましょう。」
「そうだねマリーコ。だけど、もし妊娠していたら僕はそっちの方が嬉しいかもしれない。だって、僕たちだってもう若くはないし、父さんや母さん、それに友達や、職場の人だって僕たちの子供が生まれてくることを楽しみにしているんだもの」
「そうね。さぁ、寝ましょう」
「うん。マリーコ。おやすみ」
「おやすみ。あなた・・・」
それから10ヶ月程後、俺とマリーコの間に女の子が生まれた。 美しい母親に似ればいいものを、父親の俺にそっくりな女の子が生まれた。 もちろん目は一重まぶたである。
そんな娘に俺たちは名前をつけた。それは「ひとえ・・・・」ではない。
「愛子」
である。

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