菅生(宮城県)スーパーカート6時間耐久レース参戦記

2009.11.6(大阪→仙台)
今から数十年前、F100(フォーミュラヤマハ)参戦時、お世話になった岸さんより昨年に引き続き「SUGOスーパーカート6時間耐久レース」のオファーを頂いた。岸さんのチームは、一昨年このレースの覇者。昨年二連覇を狙うも歯車が噛み合わずリタイアに終わった。その雪辱戦として今年もリベンジすることになった。

2009.11.7(菅生サーキット練習日)
まる一年ぶりの菅生サーキット。昨年はエンジン温存の為、前日練習5周。決勝時ウェット路面で2周。計7周の周回をしたのみ。今回は、スペアカーを持ち込み、みっちり走り込みが出来る体制だった。午前中の練習はスペアカーで走り込み。予定通りチームが決めた規程タイムの1′35秒台はなんなくクリア。その後も周回を重ね最終的に1′33.9のタイムが出た。この時点で練習に参加しているトップタイム。

「広宣寺モータースポーツ用ステッカー型お守り」

「レースカー」

「スペアカー」
午後からレースカーに乗換、クルマのフィーリング確認とタイヤの皮むきを行った。レースに使用するタイヤはSLタイヤでハイグリップタイヤよりグリップは落ちるもののライフが長い。午後からの練習でハイグリップを履いた別のチームに0.5秒差をつけられ土曜日練習は2番手のタイムで終わった。SLタイヤ装着チームとしては1番時計だ。2台乗ったカートのフィーリングは、スペアカーの方が断然良く、このカートであれば身体への負担も少なく耐久向けといえた。レースカーは、挙動がかなりピーキーで身体への負担も大きく自分が担当するスティントを走り切れるか不安になった。原因として、フレームの違いが大きくレースカーのフレームは既に賞味期限が切れた状態であった。とはいえ、トラブル無く練習を終えた事はなによりだった。

「YAMAHA WR250Fエンジン・5VALVE」

「データロガー付きメーター」
2009.11.8(菅生サーキット決勝日)
昨年と打って変わって、今年の天候は曇りから晴れ。気温14度 湿度73%
今回搭載しているエンジンを組んだ大野氏をチーフメカとし、MAG曽根社長以下メカニック5名+ドライバー3人+監督(安倶楽や)1名の大所帯。ドライバーラインナップは、オーナー岸選手、元全日本ライダー 中村ミノル選手、私の三人。
レース内容は、30分間予選+決勝6時間。決勝中ストップ車両が数台出た場合セーフティーカー(以下SC)導入し回収にあたる。ピットイン時エンジンストップにて給油、タイヤ交換等の全ての作業はOK。ピットイン回数自由。給油量自由。使用タイヤ銘柄・使用本数自由。ドライバー数自由のレギュレーション。
午前8時予選開始。
30分間にドライバー交替自由。チーム内ベストタイムが予選タイムとなる。
チームの作戦としては、予選はハイグリップ(USED)を履いてPPを狙う作戦。最初にオーナー岸選手のドライブで5周。1′34秒台で暫定トップ。次に、昨日の練習に参加出来ず走行出来なかったミノル選手が15分間走行。1′34秒前半のタイムで暫定トップキープ。残り10分、私のスティントの前に#2ガレージ茶畑がタイムを更新し暫定トップへ。残り9分時に私がコースイン。チェッカーまで走り切る。エンジンはすこぶる調子が良く。タイヤもグリップがしっかり出ている。コーナリング時のピッチングもタイヤグリップに負けてか? 出なくなったラップがあり1′33.7のタイムを刻みPP獲得!!
ベスタラップを出したバックストレートでの最高速は183kmだった。
こけで、決勝に向けてチームの士気が上がったのは言うまでもない。

菅生インターナショナルサーキット3.737km
午前9時半決勝スタート。

今年のスタートドライバーは私。何十年ぶりのローリングスタート。上手く決める事が出来るのか? スタートからの1スティント目は燃費計算の関係上40分走行予定。スタートは、セーフティーカー(以下SC)先導のもとシグナルグリーンでスタートが切られる。9時過ぎからスタート進行が開始されカートをホームストレート上に整列させる。選手紹介が終わりスタート5分前。スタート1分前エンジン始動。9時30分ローリングが開始された。我々のチームは250ccクラス。250ccクラス7台+125ccクラス7台。実質ライバルは#2ガレージ茶畑。#2はセカンドポジションからのスタートだ。
隊列はバックストレートから馬の背コーナーを抜け、10%上りこう配の最終コーナーに差し掛かる。PPの特権は、自分のペースでスタートが切れる。10%上りこう配中腹から加速開始。ホームストレート上のシグナルグリーンに変わり全車クリーンスタートを切った。スタート直後から私を先頭に6台のトップ集団が形成された。各コーナー進入では右へ左へと激しく進路を変え後方から#2が襲いかかる。しかし、コーナー脱出加速は私のエンジンが速く。後方の#2は、ストレートでも私のスリップストリームを使えないほどだ。そうなるとへたに引き離そうとしてペースを上げるより、トップ集団を形成したまま#2の追撃を交わす作戦に変更。#2は、最終10%上りこう配から時にはスリップに入って来るも1コーナー進入でそのノーズを押さえこむ事4ラップ。5ラップ目に#2が履いているハイグリップタイヤのグリップダウンか? #2は集団の後方に順位を下げた。続いて#47(同クラス)が私の後方に現れるもストレートスピードが圧倒的に違うのでコーナー進入以外時さえ注意すれば問題は無かった。7ラップ目トップ集団がばらけて来た事をきっかけにペースを上げた。
1′34秒前半のペースを保ち14ラップ目ストップ車両回収の為SCカーが導入された。後方集団に3秒以上のマージンを付けていたが、これでイーブンになった。2ラップをかけて回収作業が終わり、私が先頭でリ・スタートが切られた。2ラップのSCカーランでタイヤが冷えたのか、リ・スタート後のラップタイムは1′33秒台でラップを重ね、スタートから28ラップ目1′32.5(トップスビード184.9km)ファステストラップを記録。ピットでは、SCカーが入った事で燃費に余裕が出たと判断。ラップタイムも33秒台という事を考え予定の40分を50分走行に変更した。コース上では、この間に、ほぼ全車がピットインして行ったが、唯一私だけ30ラップを走り切った。その作戦が功を奏し、ピットイン直前30ラップ目に全車を周回遅れにする事が出来た。
1スティント目のピットイン作業を無事終了しドライバーはミノル選手に交替。交替後もミノル選手は1′33秒中盤〜34秒前半ペースを保ち、60分間の2スティント目で全車をラップして2スティント目終了。70ラップ目、この時点で2位を2ラップ遅れにしていた。3スティント目オーナー岸選手にドライバーを交替。このスティントも一人60分走行を担当。私とミノル選手とで前半でタイヤの美味しいところを使い切っていた事もあって1′35秒台ペースを保ち34ラップを走り切った岸選手。エンジンもすこぶる調子が良い。午後になり若干気温が上昇。岸選手がピットインしたところで2位に4ラップ差をつけていた。
ここで前後タイヤ交換して、私の4スティント目が始まった。路面温度が上がったせいかスタート時のタイヤよりグリップが弱くタイム的にも34秒〜35秒台。作戦では、ペース的に35秒台ペースで走行するようにと指示があった。2位に4ラップ差ではあるがアクシデントやクルマのトラブルを避ける事を第一に60分間の走行を続けた。
140ラップを終わったところでピットイン。何事も無く最後のスティントを無事に終え、ミノル選手にステアリングを託す。ルーティーンのGAS補給を終え、ミノル選手はコースインしていった。残り2時間と少し。この時点で2位に5ラップ差をつけていた。ミノル選手もピットから提示された1′35秒台ペースを保ってラップを重ねた。
この時点になるとピットでは、残りあと少しという安堵感と何かあれば逆転負けという緊張感が入り交じった雰囲気だった。それでも、黙々とドライバーに指示を出し続けるピットサインマン達を見ていると、気を緩める訳にはいかなかった。175ラップ目ミノル選手も60分間を走りきり無事にピットへ戻って来た。

「オーナー岸選手」
チェッカーまで後1時間20分。ブレーキ調整とGAS補給を終え、最後の6ステイント目に入った。ドライバーはオーナー岸選手。長年スーパーカート一筋で来た岸選手でさえ緊張感が隠せないスティントとなった。コースイン直後からラップタイムは1′36秒〜37秒ペース。2位に5ラップ差をつけているのでピットでは「ペースを上げないで、クルマを維持してくれている」との見方だった。監督の燃費計算では、このままGAS補給しなくてもチェッカーを受けられるとの事だったが、2位と4ラップ差を有効利用する事になり途中でピットインさせ、燃料補給をする事になった。同時に少しでもドライバーの負担を軽減する意味もある。
200ラップ目を越えたあたりからラップタイムは38秒台に落ち込む。205ラップ目最後のピットインの為に、岸選手がピットロードに滑り込んで来た。5リットルのGAS補給を済ませ、すぐさまエンジンスタート。岸選手は残り20分の最後のスティントに出た。

「ピット作業」
この時点で2位と4ラップ差は変わらず。コースイン直後のラップタイムは40秒台に落ち込み。更にペースダウンしクルマの温存に努めてくれているようだった。エンジンを組んだチーフメカ大野氏だけは、更に緊張感が高まっていた。それもそのはず6時間の長丁場をエンジンが最後まで悲鳴を上げず持ちこたえてくれるのか? エンジンを組んだ本人のみが味わう緊張感であろう。
213ラップ目残り2分。いよいよカウントダウンだ! このままいけば215ラップ目がチェッカーとなる。チームクルー全員がピットロードで今や遅しと#15岸選手の帰還を待ちわびた。場内アナウンスが「まもなくトップ車両が最終コーナーからホームストレートへ」告げられた直後、ガッツポーズの岸選手の勇姿が見えた。本当に長かった6時間。チーム全員で岸選手を迎え、サーキット全体が喜びの渦に巻き込まれた瞬間だった。

「ポディウム 岸選手の孫 喜一君と共に」

「レース終了後、最終スティントで、ペースが上がらなかった原因がフロントタイヤのトレッド剥離と判明。何時バーストしてもおかしくない状態のタイヤ」