「緊張の一本目」
8月1日待ちに待ったシエイクダウン。真っ白なボディをまとったNEW908が西パドックに搬入された。第一印象は「small」。旧型ビバーチェは、ネオヒスクラスの中では最大のボディを持っていた。908は、ネオヒスクラス中最小のボディなので、隣にあるビバーチェセヴンが大きく見える。本当に小さなボディ、しかし、シャシーはセヴンと同型なので各サイズに関しては同一。違うのはシャシーに被されたカウルサイズが違う。うまくすればセヴンよりストレートスピードが速い可能性は考えられる。WEST製アルミシートに簡単な詰め物を施し、エンジンをウォームアップ。今日は西コースインのフルコースの練習日。5/6にエンジンブローして以来2か月ぶりの練習だ。フルコースの走行に至っては昨年12月最終戦以来、久々の練習とシエイクダウンが重なる為、1本目スタート前は緊張感でいっぱい、いっぱいだった。私自身の中では、朝から気温が上がっている事を考えるとエンジンにあまり負荷をかけたくない事もあり、最終4本目に全開に出来るように走行パターンを考えていた。1本目、川北チーフメカから、水温に関しての注意事項を受け、慎重にコースイン。走り出して直ぐ感じた事はシャシー剛性感だった。ともかく、しっかりしている。タイヤが路面に張り付いている接地感の高さがステアリングを通してビシビシ伝わって来る。それに伴いリアサスペンションの粘りが強いようで、低い次元のリアタイヤのブレイクが無いのだ。これは、旧型ビバーチェの時は考えられないシャシー性能だ。旧型は、「タイヤをスライドさせてドライビングを楽しむ」という、コンセプトの元に設計されただけにスライドコントロールをして、クルマを前に進めて行くという乗り方だった。当然、グリップレベルも低くかった。908は、デグナー1&2コーナーのターンインから立ち上がりの鋭さは素晴らしい。旧型では待ちの部分が多かった所をバンバン、アクセルを踏んで行ける。水温も、エア噛み等の問題も無く76度あたりで安定していた。ただ、油温が高く125度まで上昇していた。ルーティーンのピットイン、アウトを繰返し1本目のベストタイムは2.34秒台からスタートし、2.27.62だった。パドックにクルマを戻し、師匠&メカニックに走行フィーリングを伝え、クルマの状況からフロントを少しセットアップする事にした。メカニックの手早い仕事でセットアップ完了。ここで、油温が高い事についていろいろ話しもあったが、4A-Gの特性という事もあるのであまり気にせずという結論に達した。
「ドライビングの変更?」
11時、2本目コースイン。更に気温が上がった。セットアップしたフロントに大きな変化が出た。自分の好みとしては、こちらのセットが合っているように思えるのだが、ほんの少しクルマの動きに慣れて来ているのに2.28秒台とタイムが落ちる傾向に。一旦ピットインし、フロントの効きを少し良くする方向にセットし、再びコースイン。するとタイムは一気に2.26.6に入った。もう一度ピットインし、更に締め上げる方向にセットしてみた。時間配分が上手く行かなかったのでアウトラップ1周のみの計測で2.27.1だった。水温は安定していたが、エンジンの負荷も上がって来たのか? 油温は128度まで上昇した。それに伴いなのか、気温のせいか? エンジンパワーも若干低下しているように感じられた。西パドックに戻り、今回のフィーリングを伝えた。流れとしては、今までの乗り方を少し変化さす必要もありそうだった。それはそれとして、受け入れてタイムアップをはかる手段である。再び、フロントのセットを変更し1本目のセットと2本目のセットの、ちょうど中間あたりを狙ったセットに変更した。午後から、チームメイト#7のセヴンが練習に参加して来る。これで、今日のだいたいのタイムの基準が出るだろう。シャシー性能の高さで言えば、セットアップの変更が直ぐにわかるという事だ。それだけシャシーの剛性が高い事で、良く言われる「足が良く動く」という事なのだと思う。旧型ビバーチェでは、かなり大きくセット変更をしないと変化した事がわかりにくかった。908+セヴンは、フロント剛性が高いので、フロントの動きが良くわかる。
練習走行2本を終わって、908のインプレッションは、とにかくコーナーリング速度が速い。高速コーナーの安定度が段違い。ブレーキング性能が高く、今までの感覚でブレーキングを開始するとコーナーのかなり手前で速度が落ち切ってしまった。川北チーフメカに、ロガーデータを吸い出してもらい、6月の耐久予選時、若手F4ドライバーが出した2.23秒のロガーデータと私のデータを重ねて比較して貰った。現時点で3秒遅い訳なので比較に値しないのだが、やはりデグナー1つ目と130Rの速度差が大きかった。130Rのボトムスピードを比較すると16km差だった。う〜ん・・・これは、クルマの特性に慣れるまでは時間が必要と感じた。
「トラブル発生?」
14:45分、3本目スタート。
先に、私がコースインし、後から遅れて#7がコースイン。コースイン前からエンジンがかかりにくくなってきていた。ピットで停止している時にエンジンがストップしたり、再始動に時間がかかりだした。またもやエンジン不調か? と思ったが、取りあえず走行する事にした。カシオシケインからホームストレートに出た時には少し後方に#7の姿が、しかし、どうも908の立ち上がりが鈍く感じられる。その間に#7は、どんどん間合いを詰めて来る。デグ1でその差を一気に詰められテールツゥノーズでデグ2へ、立上がった直後100Rまでで一気にパスされる。今度は後方について908のポテンシャルをはかるも、着いて行くのがやっとの状態だった。#7がスプーン2つ目でミスをするがバックストレートでスリップに付けない。なんだかイマイチ、スピードに伸びが無い。

カシオシケインでテールツゥノーズになり、ホームストレートでも同様にスリップに付けなかった。1コーナーで進路を譲られ前へ出た。その後、#7はトラブルで立体交差下にクルマを止めた。一旦、ピットインしメカニックに#7が止まった事を伝え、フロントのセット変更。再びピットイン。#7と一緒に走行した事で進入速度が少し上がったようだった。セット変更は上手く行かなかったが、トライする雰囲気が出て来たので良しとしよう。タイムは、少し更新して2.26.30。パドックに戻り、あまりにエンジン始動が出来なかった事をWESTのメカさんに伝えたところ、すぐさまオルタネーター付近を点検。オルタの配線が緩んでいてバッテリーにチャージしていなかったのだった。どうりで、だんだんパワーが無くなって来たのも頷ける。#7のトラブルも深刻なものでは無かったので部品を交換し走行可能。#7と共に走行した事で少しクルマの動きにも慣れて来たようだ。次は最終、気温も下がりはじめたので、今日一日のまとめとした走行にしたい。
「最後に・・・」
16:45分、4本目(最終)。
この4本目は、途中でピットインせず、ひたすら走る。と、決めてコースインしたのだったが・・・コースイン1周目、エンジンパワーも復活し、だんだんと調子に乗って来たデグナー1つ目進入でスパッとリアが流れ、止めきれずスピン。サンドバリアに捕まり縁石の上でカメ状態になった。すぐさま赤旗が出て助かった。回収車に引っぱりだされたもののエンジン始動せず、仕方なしに押しがけをしてもらって再始動。ピットに戻って点検。スタート時、またもやエンジン始動せず、メカさんに押しがけをしてもらいエンジン始動し、ようやくコースインで来た。あのスピンで終わらなくて良かった事を感謝しつつ、タイムを刻める走りを模索する。ともかく高速コーナーの進入速度を上げて行く。130Rは、その甲斐あって当初より10km以上スピードUPしていた。3周目に2.25.90、4周目2.25.92と、なんとか25秒台に入った。5周目2.26.16にタイムが落ちた。電光掲示板に残り時間3分の表示が見えた。と、いう事は、これが最終ラップになる。このままでは、2.25秒台に入ったのみという事で終わってしまう。
気合いを入れ直し、1コーナーに進入するも、あまり良い感触では無かった。次々とコーナーをクリアするも可も無く不可も無くだ。東コースから西コースへ入り、バックストレートから130Rへ。まあまあの速度でクリアし、最後の難関カシオシケインへ。130R立ち上がりから、最後のカシオはブレーキングポイントを奥へ持って行くと決めた。以前の周回時より明らかに奥までブレーキを遅らせたが、908は一気に減速を始め、クルマが横にスライドするでもなくグーッと前へのGが増加。ちょうどハンドルを切るポイントでブレーキングが終了しステアイン。クルマは、一気に向きを変えカシオシケインを立上がった。ホームストレートの計測ポイントを通過した。タイムは、2.25.20でペスト更新。シェイクダウン+気温を考えると、納得のタイムを出せた事は嬉しかった。しかし、まだ908の真の乗り方については把握し切れていない。旧型ビバーチェが出来なかったブレーキングや、コーナーへの進入がこれからの課題になると思う。しかし、それは旧型ビバーチェでタイムを削る事よりは、シャシーのキャパを持ってすれば何時の日か出来る時が来ると思う。これだけの性能を持ったシャシー相手では、直ぐ先で勝てる時が無くなる事を確認出来た一日でもあった。モチベーションを保つ意味とチャレンジを忘れない為にも908へのチェンジは正解だった。と確認出来た一日だった。
WEST社の皆様、本当に良いクルマを仕上げて頂きありがとうございました。
「画像提供わいるど氏」TANKS!