世界的な金融危機に直撃されているアイスランドと英国の関係が険悪になっている。アイスランド政府が預金流出を防ぐため英国民のネット口座を停止すると、英政府は対抗措置として反テロ法を持ち出し、英国内にあるアイスランドの銀行の資産を凍結。これに対しアイスランド国民の1割超の4万人がネット上で「テロリスト扱いは許せない」と抗議署名を行う騒ぎに発展している。
アイスランド政府が今月7日、国内2位のランズバンキ銀行を国有化したのが発端だった。同行系列のネット銀行「アイスセーブ」に30万人の英国民が40億ポンド(約5700億円)を預金していたが、アイスランド政府は預金の流出で銀行が破綻(はたん)するのを防ぐためネット口座を閉鎖した。
翌8日、英財務省は米中枢同時テロ後に施行された反テロ法でテロリストと関係しているとみられる銀行口座は凍結できるという条項を拡大解釈。ランズバンキ銀行を国際テロ組織アルカーイダと同列に扱い、英国内にある同行の資産を凍結する非常手段に打って出た。どんな手を使ってでもまずおカネを差し押さえないと、一銭も返ってこない恐れが強かったからだ。
アイスランドのハーデ首相は「われわれはテロリストではない」と激怒。ギスラドッティル外相は、反テロ法を持ち出した英国に対し「全く適切でなかった」と悔しさをにじませた。
しかし、国家破綻の危機を招いた政府への市民の不信感も強く、ハーデ首相やオッドソン中央銀行総裁の辞任を求める動きも出ている。
英財務省はその後、ランズバンキ銀行をテロリストのリストから外したが、資産の凍結は解除しておらず、その根拠も明確には示していない。
24日に決まった国際通貨基金(IMF)の緊急支援枠に英国民の預金保護は含まれていなかったため、ダーリング英財務相は「アイスランド政府に英国民の預金者を保護する能力はない」と不信感をあらわにするなど、両国関係はますますこじれている。
両国間では1950〜70年代にタラなどの漁業権をめぐり英海軍とアイスランドの沿岸警備隊が砲撃や体当たり攻撃を繰り返す紛争が発生。「タラ戦争」と呼ばれ、一時は国交断絶寸前の状態だった。

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