2010年09月3日 16:34 来週の日本株、不安心理がくすぶり大幅上昇は期待薄
[東京3日ロイター]来週の東京株式市場は、下値固めとなりそうだ。世界経済の先行きに対する過度な悲観論は後退したものの、為替市場での円の高止まりや、民主党代表選を控えた政治空白などのリスク要因が残っている。10日には先物・オプションのSQ(特別清算指数)算出もあり、不安心理がくすぶりやすい。下値で公的運用資金の買いが確認されているため底堅さは維持しそうだが、大きな上振れも見込みにくい。
日経平均の予想レンジは8800円─9400円。
<外部環境に左右されやすい状況は変わらず> 3日に発表される8月の米雇用統計は従来にも増して注目されている。大幅に悪化すれば、21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加緩和観測が浮上し、円高圧力が強まりかねないからだ。ロイターによるエコノミスト調査では、非農業部門就業者数が10万人減、民間部門就業者数は4万1000人増と予想されている。「予想よりも強い内容となれば、景気減速に対する懸念が緩和し円安・株高も期待できるが、逆の可能性もあり、上下どちらに振れてもおかしくない」(準大手証券)とみられている。日経平均は9月1日に8800円割れの水準まで売り込まれて年初来安値を更新したが、まだ底入れ感は出ていない。9月第2週(6―10日)も株価の不安定な動きは続きそうだ。「悪材料は相当織り込んだが、為替次第では再度下値を探る展開もあり得る。外部環境に左右される状況は変わらない」(大和証券キャピタル・マーケッツ投資戦略部部長の高橋和宏氏)との声が出ている。国内の7月鉱工業生産が事前予想を上回ったほか、3日発表の4─6月期法人企業統計では設備投資が前期比で9期ぶりの増加に転じるなど明るい兆しも出ているが、「円高が本格的に効いてくるのはこれからであり、楽観できない。8日発表の7月機械受注で外需が上向くか、10日発表の4―6月期GDP2次速報が上振れるかどうかなど今後の指標を確認したい」(大手証券情報担当者)という。10日には先物・オプションのSQ(特別清算指数)算出を控えている。裁定業者間の思惑が交錯し、先物主導で上下に振れる場面もありそうだ。
<安値圏では公的運用資金の買いも>一方、東京証券取引所が2日にまとめた8月第4週(8月23―8月27日)の主体別売買動向によると、信託銀行が1652億円の買い越しとなり、海外勢の売り越しを吸収する形になっている。「安値圏で公的運用資金の買いが確認された。需給面で一定の下支え効果は期待できそうだ」(大手証券)との指摘も出ている。10日には経済対策の詳細が明らかになる。今のところ景気押し上げ効果は限定的なものになる見込みだが、菅直人首相は必要に応じて2010年度補正予算を編成するとの含みも残しており、多少の期待感は持続することになる。民主党代表選を巡っては、菅直人首相と小沢一郎前幹事長による政策論戦が本格化している。小沢氏の為替介入に積極的な発言などもあり、株式市場では閉塞感の打開に期待感も出ている。「小沢政権が誕生すれば公明党との連立模索の動きになりそうだ。衆参ねじれが解消すれば政策も進みやすい」(準大手証券情報担当者)との声も浮上してきた。もっとも、現時点で株価が大きく上振れる要素は少ない。SMBCフレンド証券投資情報部部長の中西文行氏は「9月中間期末を控えていることもあり、新興市場のIT関連銘柄や個別の材料株による回転売買が中心になるだろう」との見方を示している。
10/09/03 18:49 来週の東京外国為替市場見通し=3日の米雇用統計が失望呼べば、ドル・円は「史上最安値を視野」との声
予想レンジ:1ドル=80円00銭-86円00銭
6日からの週、ドル・円の値動きをみるうえでは3日発表の8月米雇用時計の結果が重要となりそうだ。市場では、「雇用統計がネガティブサプライズとなれば、ドル・円は8月24日の安値83円57銭を割り込み、83円台の前半まで下落するとみている。6日がレーバーデーで米国市場が休場となるため、連休を控えていったんドルを買い戻す動きが出る可能性もある。ただ、8月24日の直近安値をいったん下回れば、来週は史上最安値の79円75銭を付けにいくムードが高まるだろう」(中堅証券)との指摘が出ていた。
逆に米雇用時計が市場予想より良好な結果となり、米景気に対する過度に悲観的な見方が後退すれば、来週にドル・円は底堅い値動きとなることが想定される。もっとも、8月の雇用統計が良い内容になったとしても、FRB(米連邦準備制度理事会)の追加緩和観測はくすぶり続けるとみられ、ドル・円の上値は重そうだ。8月19日以降にドル・円は何度か86円台乗せに失敗しており、同水準を回復するのは難しいと予想する。
日本の当局の介入については、「当局はドル・円の水準ではなく、下落のスピードに応じて行動するとみている。ドル・円がじりじりと下落する展開では、当局は介入の理由付けができず動きにくいだろう」(大手信託銀行)との声が聞かれた。また、サマーズ米国家経済会議(NEC)委員長が4日から3日間の日程で中国を訪問する予定で、人民元の一段の切り上げを要請する可能性があると報じられている。こうしたなかで、「日本の当局が円安に誘導するために為替介入するのは難しい」(前出の中堅証券)とされる。6-7日は日銀が金融政策決定会合を開催するが、8月30日に臨時会合で新型オペの拡充を決定したばかりで、為替相場に影響を与える新たな材料は出ないとみられる。市場では、「ドル・円は下値で実需のドル買いが出ている」(前出の大手信託銀行)との指摘があった。また、国内投資家が海外の資産へ投資する動きがみられているといい、ドル・円を下支えする要因として意識されている。来週は8日にベージュブック(米地区連銀経済報告)の発表が予定されているが、重要な米経済指標の発表はないため、ドル・円が下げ渋ることも考えられる。[株式新聞ニュース]
2010年 09月 3日 14:34 ロイターコラム:健在なミセス・ワタナベと為替介入のタイミング
[東京3日ロイター]円高が加速すれば、株安に連動するために多くの市場関係者が注目しているドル/円は、週末3日の段階では、84円前半でこう着している。3日夜に発表される8月米雇用統計の結果次第では、ドル売り/円買いが集中し、円高が加速するのではないかとの思惑もあり、イベント前の静けさを保っているようだが、意外な伏兵がドルをサポートしているとの声も、市場の一部ではささやかれている。その名は「ミセス・ワタナベ」──。 30日の日銀による追加緩和発表後、31日のNY市場でいったん83円台まで円高が進んだものの、その後は介入警戒感からの買い戻しで84円台を回復し、ドルは84円台を維持している。複数の市場関係者によると、ドルをサポートしている一角に「ミセス・ワタナベ」に代表される個人投資家のドル買いがあり、ドル売りを仕掛ける短期筋の注文をかなりの程度、吸収しているという。ある外為市場関係者によると、83.50円にドル買いのリーブ・オーダーを置いている個人投資家もいるようで、外為証拠金取引(FX取引)の普及により、マーケットにおける個人投資家の存在感は着実に拡大している。国際決済銀行(BIS)が1日に発表した世界の外為取引に関する調査(2007年─10年)によると、日本は前回調査から大幅に取引が増加し、シンガポールやスイスを抜いて3位に浮上。この取引増加の大きな要因としても、個人投資家の存在が大きいと市場関係者の多くがみている。多くの個人投資家のドル/円での投資スタンスは「ドル買いポジションの拡大」のようだ。ドルが下がったところでは「絶好の買い場」とみて、ドル買い注文を出してくるため、ドルの下値が支えられる。まるで当局が小玉で覆面介入しているかのように出てくるため、ドルはジリジリとしか下がらない。結果としてマーケットでのドルショートポジションが溜まらない。一方で通貨当局は、最適のタイミングでの介入を計っている。意表を突くという要素とは別に、相場が逆方向に動くメカニズムとして、大きくポジションが傾いた時に介入すれば、大きく相場を動かすことができると判断している。 政府はある時期まで相場を注視すると言い続けてきたが、菅直人首相が8月27日に東京大田区の中小企業を視察した後に記者団に問われ「必要なときは断固たる措置を取る」と、今回の円高局面で「断固たる」という表現を初めて使った。市場は、ドル買いという実弾を使って介入を実施する用意を政府がようやく整えたと、その時から思い始めた。このため日銀が臨時の金融政策決定会合を開催した8月30日をはじめ、介入がいつあってもおかしくないと市場は緊張感を強めたが、介入はこれまでのところ実施されていない。
その大きな理由は、ドルショート・ポジションが溜まっていないためだろう。その背景には「ミセス・ワタナベ」のドル買いが影響しているのは間違いない。では、いつまでもこの奇妙な均衡が続くのだろうか。3日夜の米雇用統計が市場予想を下回って大幅に悪化した場合、米株安を伴ってドル売りが加速する可能性がある。個人投資家の注文を含めたドル買いを飲み込むほどドル売りが出てきたら、ドル下落テンポが加速して、ドルショート・ポジションが溜まるだろう。その時に政府が出てくるという展開が予想される。個人投資家の中には、ドルはいずれ今の水準からドル高方向に戻ると予測している向きが多いらしい。もし、この観測が正しければ、政府が自ら出ていく前に、個人投資家の買いがドルをサポートする局面が続きそうだ。だが、最近の個人投資家の中には、損失覚悟のポジションクローズの注文(ストップロス)を事前に置いている向きもあるという。もし、その規模が大きければ、ある水準を突破すると、ドル下落のテンポが加速する要因になる。
当局は、きっと「ミセス・ワタナベ」のポジションを市場からのヒアリングで確認し、介入の準備をしているに違いない。