「ルナ殿、何時になったら世界を救うべく行動してくださいますのじゃ?」
「何回も言ってるじゃない。…興味ないって。」
老人の声と少女の声。このやり取りが城塞都市ロカの街中で何度も続いていた。
〜 竜眼の少年との出会い 〜
「やはり考え直しては下さらんか…。」
そうしょんぼりとした声を発したのは老人の顔がついた杖だ。
「ゴリガンも知ってるはずだけど。私がセプター嫌いだって。だから使いたくないのよ、こんな力。」
そう少女は杖…ゴリガンにやや冷たい声で答えた。
「それは存じておりますが…。ルナ殿のその非常に高いセプター能力ならば、バブラシュカ大陸を救う事も可能ですのに…。」
「漠然と世界の危機世界の危機って言われても、ピンと来ないし。それに私にそんなことが出来るほどの力があるとも考えられないわ。」
ルナと呼ばれた少女はやはり冷たい声で淡々と答える。
「私は貴方に助けられてからずっと世界のために旅立つ日を夢見てきておったのですが…。それにルナ殿は御自分で気がついておられないだけで、非常に強い力を持っておられるのです。私にはセプター能力を見分ける力もあると言いますのに…、信じては下さらんか…。」
ますますゴリガンの声に覇気がなくなる。それを見てルナはため息をついた。
「取り合えずこの話は終わりにして、買い物を済ませましょう。お爺様も待ってるはずだから。」
話にきりをつけてルナが移動しうとしたその時、彼女に声が掛かった
「おい、そこのお前!…セプターだな?」
「……何か用?私、急いでいるんだけど。」
振り返れば、ルナの後ろに少年が立っていた。黒髪の、お世辞にも背が高いとはいえない少年。そうして何より目を引いたのは…明らかに人のものとは違う左目だった。
「気をつけてくだされ、その者はセプターです!!」
少年を見るや否やゴリガンが叫んだ。その声を聞いた瞬間、ルナの顔色が変わった。さっきまでの冷めた表情が見る見る間に嫌悪のそれに変わっていく。しかし、少年はルナ達の様子は気にせず言葉を続ける。
「俺の名は竜眼のゼネス。さっきの会話を聞く限りじゃあ、お前はセプターのようだな。…俺と勝負しろ。」
少年…ゼネスはそう言い放つとブックを取り出した。
「何を勝手な事を!ルナ殿はおぬしと違い、いずれ世界の人々の希望になられるお方なのだぞ!おぬしの相手なぞ…っ!」
「人々の希望だと?フッ、笑わせるぜ!愚かな人間どもの希望など叶えて、大陸が平和になるとでも思っているのか?」
ゴリガンとゼネスの間で話は進む。
「私は旅するつもりも希望になるつもりもないんだけど、ゴリガン……。」
ぼそっと呟いてはみたものの、二人の耳には届いちゃあ、いない。
「俺は大陸を巡り、セプター達を倒そうと思っている。だが、人々のためなどではない。俺がこの世界を支配するためにだ!」
「な、なんですと…っ!?ルナ殿、どうなさるのです…?」
ゼネスの世界制服宣言を聞き、ゴリガンがルナを見た。
「さぁ、これでも戦わないと言うのか?お前の持つ全てのカードをおいていくと言うのなら、見逃してやらんでもないぞ?」
にやり、とゼネスが笑う。しかしルナは先ほどよりも大きなため息をついた。
「セプターってもしかしてアホばっかり?世界征服とか大声で言い散らす奴ってはじめて見た。」
「な、なんだとぅっ!」
アホと言う言葉にカチンと来たらしく、ゼネスがブックからカードを引いた。
「ルナ殿、ここは戦うしか…。」
「ゴリガンは下がってて。」
ゴリガンの言葉を遮るとルナはブックからカードを引いた。
「私、セプターは大っ嫌いなのよ。特に貴方みたいにまわりの迷惑を考えないはた迷惑な奴は特に。…、本当ならこんな力使いたくはないけれど、相手をしてあげる。」
はっと見てみればルナの目はとても真剣だ。ゴリガンは言われたとおり、後ろに下がった。
「ルナ殿、私は貴方の力を信じていますぞ!」
そうして戦いは始まりを告げた。
最初はゼネスがやや優勢に見えた。だがそれはルナが地属性の土地にクリーチャーを召喚した時、崩れ去った。次々と地属性の連鎖を作ってゆき、土地に魔力を注ぐ。その魔力を注いだ領地にスベルでゼネスを誘い込み、彼の魔力を奪う。そうしてゼネスはこの連鎖が崩せず、敗北した。
「ま、負けた、だと…?この俺が…。」
愕然とした表情でゼネスはルナの顔を見つめた。見つめられた彼女は無表情だ。勝利に喜ぶでもなく、敗者であるゼネスに何かを言うわけでもなく。ただ、ゼネスをエメラルドグリーンの瞳で見つめている。
「…っ、ここは退くが…覚えて置け!お前は必ず俺が倒す!」
その言葉とともにゼネスがカードを開いた。ふわりと彼の体が浮き、飛び去っていく。「フライ」のスペルカードを使ったようだ。
「やれやれ、厄介な者に目をつけられてしまいましたな…。」
「本当にそうね…。ゴリガン、とりあえずお爺様のところに戻りましょう。」
「…そうですな。」
まだ旅立つつもりはないのか?そう問いかけたいゴリガンだったが、初めての戦いで疲労しているらしく、ルナの顔色が優れないのを見て取れてその言葉を飲み込んだ。
日が沈み行くロカの通りを、2人は無言で歩き始めた。
□後書き
カルド1はじめました。(笑)その記念でストーリーになるべく沿いつつ小説を書いてみようと書いてみたものです。しかし、長いっ。(汗)文章を短くまとめるのが苦手な私です…。そうして、まだ旅立ってないし。ちょっと冷めてひねくれた女の子セプターが主人公です。主人公の設定は明日にでもアップします。どこまで続けられるか分かりませんが、頑張って書いていきたいと思いますので、宜しければお付き合いくださいませー。