〜 死の砂漠、ゴザにて1 〜
じりじりと照りつける太陽、熱を帯びた風。そのどれもが、じわじわと体力を奪って行く。休みたくても日陰などあるはずもなく、そのまま座り込みでもしたら熱された砂で火傷でもしてしまいそうだし、それがなくともこの強い日差しの熱い風の中では、休んでも疲れなど取れはしないだろう。今ルナとゴリガンは死の砂漠と呼ばれるゴザに居るのだ。
「…、さすがに、辛くなってきたわね…。」
「年寄りの体にはこたえますわい…。」
そんな中を歩いているのだから、ルナとゴリガンの口から愚痴のような物がこぼれても不思議ではない。しかも、この場所にもセプターの気配があると言うのだから、厄介以外の何者でもない。
「しかし、ルナ殿。あれでよかったのですか?」
「何が??」
「セバスチャンやコーテツのことです。ルナ殿は彼らを許してしまいましたが…。」
その言葉を聞いて、ふぅとルナはため息をつく。
「私にあれ以上どうしろと言うの?殺せばよかったわけ?」
「いえ、そこまでは…。しかしもう少し、きつく灸を据えてやっても良かったのではと…。」
セバスチャンにしてもコーテツにしてもルナはあっさりと許してしまった。彼らが自分のしたことを悔いてくれたし、気付いてくれた。なら、ルナはそれ以上何も出来ないのだ。彼女は痛みと言う物を良く知っている。だから安易に人にそれを与えると言う事はできないのだ。
「私のセプター嫌いは、今でも変わっていないのよ?必要以上に関わりたくないんだから仕方ないわ。それより、あまり話していると余計疲れるわよ。」
それを口に出したりはしないが。そうして歩いていると、ゴリガンが足を止めた。
「ルナ殿、セプターの気配がしますぞ、気をつけてくだされ!」
「そこの旅人よ、止まるがよい。」
ゴリガンが警戒の声を発したと同時に、威圧感のある男の声が聞こえた。
「余の名はヴァイデン。…ここを通る者は商人なら金品を、セプターならカードを通行料として余に差し出す事になっておる。さぁ、大人しく全てのカードを余に渡すのだ!」
「疲れているのに、またこんな馬鹿な人を相手にしないといけないのね…。通行料とか誰が決めたのかしら?ただの略奪でしょう?」
ザッザッと砂を鳴らしヴァイデンと名乗る男が近づいてきた。元はとても立派で高い服だったのだろうか、砂漠暮らしのせいかそれはくすみ、ボロホロだ。そうして、何より驚くのは肩の上辺りで首と一緒に固定された手枷。それがヴァイデンを拘束していた。
「さあ、カードを差し出せ。世は全てのカードを集め、世界征服せねばならん。そうして、余を愚弄した愚か者どもに裁きを与えてやるのだ!」
「これは戦うしかないようですな…。」
諦めたように呟いたゴリガンをよそにヴァイデンはあらぬ方向を向く。それは丁度ルナとは反対側だ。
「ほほう、今日は二人もセプターが現れるとは。くっくっくっ…。」
ヴァイデンの言葉に2人も視線を移す。遠くから近づいてくる影は…。
「あれってもしかして…。ついてないわ、本当に…。」
ルナが今まで一番大きなため息をついた。そう。現れたのは竜眼のゼネスだったからだ。
「久しぶりだな、ルナ!今度こそ貴様を倒してやるぜ!」
「こんな熱いところで貴方みたいな暑苦しい人と出会いたくなかったわ、竜眼。」
「誰が暑苦しいだとっ!?相変わらず口の減らん女だな、貴様は。」
ルナとゼネスとの間で火花が散る。…と言うより一方的にゼネスがにらんでいるのだが。そこにヴァイデンが割って入った。
「お前たち、余を無視するとは何事だ!それより、おぬしもカードを渡してもらおうか。」
「何だ、貴様は?…何者かは知らぬがルナとの勝負を邪魔す目と言うのなら容赦はせんぞ!」
ゴリガンはこの最悪の状況にただ頭を痛めるばかりだ。そうして、ルナに力なく言った。
「今回はヴァイデンとゼネスの2人を相手にせねばならぬようです。御武運を!!」
「…それなりに頑張ってはみるわ。」
そうして各々ブックを取り出した。灼熱の砂漠で、戦いの火蓋が気って落とされた。
□あとがき
も、もっと長くなりそうなので2に続きます…。ちなみにこれ書いてる時点では豊穣の地タリオまで終わってます。カルド1、むずかすぃー。