ぱちぱちと炎が爆ぜる音。
絶え間なく響く人々の悲鳴。
徘徊する化け物。
それが10を少し過ぎたばかりの少女の前で起っている光景。
ことの始まりは少女の暮らしていた村にセプターが訪れた事だった。
しかも、ほぼ同時に2人も。
そうして当たり前のようにセプターたちは戦いを始めた。
当然のごとく村は巻き込まれた。セプター達は己が勝つことだけにこだわり、周りを気遣う事はない。そうして村は滅びへと向かっていく。
恐怖に身を竦ませた少女にも容赦なく災難は襲い掛かる。一人のセプターがスペルを発動させると、辺りに炎が広がった。少女の父と母が彼女を庇う。
炎に包まれる、父と母。
少女が泣きながら近づこうとするのを、他の村人が止めた。そのまま少女を抱き上げて、走る。ただ少女は泣いて父と母を呼ぶことしか出来なかった……。
〜 旅立ちの決意 〜
「ルナ殿?」
はっと、その声でルナは目を覚ました。どうやら、うたた寝をしてしまったようだ。
「…寝て、たのね。有難う、起こしてくれて。」
「いえ…。それより少々うなされておったようですが…。」
ふぅ、とルナは息を吐く。そうするとぽつりと呟いた。
「夢を見たわ。父さんと母さんが亡くなったときの夢。昼間、あの竜眼の男に会ったからかも知れないわ。」
「そう、ですか…。辛い事を思い出されましたな…。」
ゴリガンも、ルナの過去の事については知ってる。だからこそ、ルナの言葉を聞いて彼女の心中を察し、辛そうに顔をゆがめた。
「あれからもう五年もたつのよね…。ロカに居るお爺様に引き取られて、幸せは幸せだけど…。あのときのことだけは、忘れられないわ…。」
そう呟いて下を向いた。あの出来事のせいで、セプターが嫌いになった。セプターは己の事とか考えず、回りに多大な災いをもたらす者だと。そのセプターとしての力が自分にあると知った時、死にたいと思ったほど嫌いだし憎んでいる。
「…。」
ルナにかける言葉が見つからず、ゴリガンは黙り込んでしまった。そうして、続く沈黙を破ったのはルナだった。
「ねぇ、ゴリガン。確か竜眼は世界を征服してやるって言ってたわよね?」
「確かに、そのような事を言っておりましたな。ゼネスの様子ですと、セプターを見かけたら所構わず戦いを仕掛けそうですな…。」
困った奴だ、と言いたげにゴリガンが言う。
「所構わず、か…。今回、竜眼は大したカードを持ってなかったから被害が出るとかはなかったけれど…。」
「ルナ殿?」
そう言って黙ってしまったルナをゴリガンは見つめる。しばらくして、ルナが真っ直ぐゴリガンを見つめた。決意を秘めた目で。
「人々の希望とか、世界を救うとか大それた理由で動く気に離れない。けど…旅に出て見るわ。竜眼をが本当に世界を征服してしまったら、今の生活もなくしてしまうから。」
「宜しいのですか?貴方の嫌いなセプターと戦う事になるし、勿論その時はルナ殿もその力を使わなければならないのですぞ?」
「あら、私を旅立たせたかったのはゴリガンでしょう?けど、確かにセプターに会うのも力を使うのも嫌よ。もしかしたら、私が周りに被害をもたらしてしまうかもしれないし…。」
そうして少し間を置いて言葉を続ける。
「昔みたいに、今の私は何もできないわけじゃない。だから自分で守るの、今の生活を。」
「…そうですか。ならば…このゴリガン、どこまでもお供しますぞ!この辺りにはゼネスだけではなく、他にも邪悪なセプターの気配が充満しております。心して進みましょうぞ、ルナ殿!」
ルナが旅立つ決意をしたのが嬉しかったのか、ゴリガンの声は元気を取り戻していた。その姿を見て、ルナは少しだけ笑みを浮かべる。
「じゃあ、私はお爺様にこのことを話してくるわ。ゴリガンは先に休んでて。」
「では、お言葉に甘えまして。…お休みなさい、ルナ殿。」
その言葉にルナは頷くと部屋を出た。理由を話したら、祖父は少し悲しそうな顔をしたものの、「望む道を行きなさい。だけど、必ず帰ってくるように。」と言ってくれた。しばらく会うことのなくなる祖父と、ルナは心行くまで話をした。
そうして、ルナとゴリガンは次の日の朝、ロカを発った。ルナの長いたびが始まりを告げたのである…。
□あとがき
今回も長くなりましたー。(汗)とりあえず、ようやくの旅立ちです。今はルナはゼネスの事が大嫌いですが、いずれかは和解をさせたいな…、と。次は何時になるか分かりませんが、ストーリーモードが進み次第更新したいと思います。