脚本が「スクリーム」シリーズなどでおなじみのウェス・クレイブンだからちょびっと期待して行ったけど、ま、あんなもんでしょう(ちなみに同監督の「パニックフライト」は傑作。そのうちレビューします)。
それでもジャパニーズホラーのハリウッドリメイクとしては、大音響で脅かしたり、グロテスクな血まみれシーンで神経逆なでするなんていう下品な手はあまり使っていないので、好感は持てる(しかしホラーに「好感」って(^^ゞ)。

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こちら
あ、そうそう、本作はかの黒沢監督の名作「回路」のリメイクであります。ま、クロサワって言っても清のほうだけどね。
基本的な筋書きは、少なくとも最初のほうはオリジナルとほとんど同じ。ただね、同じ筋書きでも解釈が違うとこんなにも異質なものになっちゃうんだな。
まぁ、商売のためのリメイクだからね、観客層にアピールしなきゃいけないわけで、だからオリジナルを見て「わけわからん」と思った人には結構いいカモ。
(というわけで、続きはネタバレモードになるのであった)
一応大雑把にプロットをおさらい。
・・・と書こうと思って思い返してみると、実のところかなりシンプルな話なんだな。
友人の自殺にはじまる物語。気がつけば伝染病のように自殺者は広まる。同じころ立ち上がった奇妙なサイト。ランダムに映し出される個人の部屋、そこに住む気力の感じられないひと、そして「幽霊に逢いたいですか」のメッセージ。
やがて異形のものたちが目撃されるようになり・・・・
(以下ホンとのネタバレですよ。ネタわかってても面白さ、もしくは面白くなさには変わりはないけど)
ま、要するにネットを通じて死者がよみがえってきますよ、死者に魅入られたものは死んじゃいますよ・・・・という、一種のゾンビものの変形なわけですな、リメイクは。
黒沢のアイディアをゾンビものに変換したのは、商売としては正しいでしょう。オリジナルの深淵を覗き込むような恐怖は、少なくとも一般受けを狙った一時間半程度の映画じゃ消化しきれない。
もしオリジナルの世界観を表現するなら、シリーズものにして三作目くらいじゃないと無理だろうし、シリーズになりそうな余韻を残したラストだったけど果たして続くのかねぇ。ま、ココでは関係のない話。
面白かったのはオリジナルと解釈の違うそこかしこ。別に間違ってる、とかじゃない、作劇上の方針だろう。
たとえば「赤いテープ」。
赤いガムテープによる目張りは、オリジナルでは死者たちを封じ込めるものであると同時に連中を呼び寄せる「回路」の一部でもあったのだけれども、こちらではシンプルに「死者よけ」にのみ使われている。
これは色の映像効果だけを抽出した換骨奪胎。でもま、仕方ないかな。
死者と目を合わせたら死んじゃう、のもこちらでは単に死んじゃうだけ。ってそりゃ死んじゃうのは大変なことではありますがね(^^ゞ、ま、体を黒い菌糸のようなものが覆って死に至るという視覚効果は面白いが・・・・
オリジナルはちょいと一筋縄ではいかん。どうも「死んでも死に切れない」ようなのだ。別に成仏しきれないとかってワケじゃなく、「生きてはいないが死んでもいない」状態に置かれてしまうような・・・・ ま、詳しいことは別の話として。
テーマはもちろんまるで違っている。
こちらはシンプルに死者たちによる人類滅亡もの。死者の弱点らしきものも終盤には見つかるから、続編があるとすれば次は人類の逆襲か?
オリジナルはコミュニケーション、ディスコミュニケーション、存在することの孤独、存在していないということ・・・・ そんなキーワードが思いつく。そしてハッピーエンド?
タイトルや表面的な小道具だけを追うとオリジナルも「インターネット時代ならでは」と思われてしまうが、実は舞台が飛脚の時代だろうが遠い未来だろうがかまわない。単に表現するのにネットというものが手ごろだったに過ぎない。
リメイク版はそうは行かない。だからこちらは時代とともに古びてしまう、観るなら今のうち。でもま、商売としてはそれでよかろう。
どうしてもオリジナルがすばらしいので辛口になってしまうが、それでも近頃のただうるさいだけのホラーに比べれば遥かにまし。
暇つぶしに観る分には、食欲減退するシーンもないし適度にドキドキできてよろしいんじゃないでしょうか。
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