大阪府阪南市では、医師の給与に「歩合制」を取り入れるらしい。医師不足に対する窮余の策らしいが、どうなるか注目してみたいと思う。
記事は次のとおり。
医師確保へ「歩合制」で年収大幅増 大阪・阪南市立病院
2008年05月05日06時19分【朝日新聞】
大阪府阪南市は、勤務医の流出が続く市立病院(185床)に、診療実績に応じた歩合制を導入して医師給与を大幅に引き上げる方針を決めた。年収は現状より900万〜1200万円程度増えて約1.8倍になる見込みで、全国水準を一挙に超える。公務員としての自治体病院医師に歩合制を適用するのは全国でも異例という。
自治体病院は激務の割に報酬が低く、医師に敬遠される一因といわれる。同病院でも過重勤務への懸念から昨年6月末に内科医全員が退職。今年4月からは11人いた常勤医が5人に減り、補充が急務になっている。市は「地域医療を守るために協力してくれる医師に報いる給与体系が必要」と説明する。
市が市議会に示した素案によると、現状の年900万〜1300万円程度の基本給とは別に、患者数に応じた能率給を導入。入院1人につき1800円程度、外来1人で470円程度をそれぞれ支給する。1日平均で入院7人、外来20人を診ると年800万円強になる計算だ。
原資は医師の診療行為で病院が得る医療収益。そこから基本給分を差し引き、残った中から7%程度を医師に還元する。このため、収益が増えなければ能率給も伸びない。
さらに、これまでの宿日直手当などに代わり、入院患者を診る常勤医には年306万〜765万円の手当を基本給に加算。非常勤医の宿直手当も増額する。
諸手当を含む現在の平均年収は、全国平均より約200万円低い約1300万円(06年度)。これが新給与体系の導入によって、経験5年目の医師で約2千万円、20年目の部長級で約2600万円になると試算する。民間病院の水準を参考にしたという。関連の条例改正案を6月定例市議会に提出する方針。
ただ、同病院は今年度、市の歳出の8%にあたる11億8千万円を一般会計から繰り入れても2億6千万円の不良債務が出る見通し。全職員の給与は医療収益の9割超で、全国平均(50%強)を大幅に上回る。新給与体系について、一部市議は「市民の理解が得られるだろうか」と疑問視しており、論議を呼ぶ可能性もある。(加戸靖史)
公務員である自治体病院医師に歩合制! そんなことできるんだ。うらやましい。うちの病院でもやってくれないかな。
それはさておき、一つ前の記事、「重度障害者への公費補助」とも共通するのは、社会保障を成立させるために、制度そのものでは足りずに公費を投入する必要があるという点だ。
阪南市立病院が地域になくてはならない病院だとした場合(実状がわからないので変な書き方だが)、その病院を適正な規模で存続させるには、「医業収入」つまり現状であれば診療報酬だけで運営が成り立つのが、健全な経済というものだと思う。地域差や病院の特性によってはそれは無理だという意見もあるかもしれないが、診療報酬の全国一律価格をやめればいいことだ。
診療報酬を適正化(本当の意味の適正化=現状からは値上げ)することはいけなくて、その結果税金を投入しなければ社会保障が成り立たなくなるのであれば、その税金は無駄遣いではない。地域社会に必要な支出である。医師の給与を診療報酬で賄えないから税金で賄うということになれば、医者が憎まれ役になる。厚生労働省と財務省も、うまいやり方を考えたものだ(っていうか、ずっとそうだけど)。
適正(本当の意味)な診療報酬であれば、働けば働くほど病院の収入も増えるのだから、医師の給与に歩合給を上乗せすることは簡単だし、誰からも文句は出ないだろう。しかしこの記事を読む限りでは、外来1人で470円程度を上乗せということだが、そんなに上乗せして大丈夫かというぐらい、日本の診療報酬は安い。日本の医療が文句をいわれずに自立するためには、診療報酬の決まり方を変えなければ無理だと思う。
「もっと削れ」とか間抜けなことをいっている財政制度等審議会とかは、放っておけば駆逐されるだろう。されなければ日本も終わりだ。でも現実に駆逐されるのは一般国民や医療の方かも。<参考図書:
貧困大国アメリカ>
それにしても、20年目の部長級で2600万円かあ。いいなあ。20年目で部長といえば、ほぼ私と同じ境遇。うちの病院は医者が割とたくさんいるから、そんなに多くの給料を出す必要もないのかもしれないけど、私個人でいえば24時間365日呼ばれたらいつでも病院に駆けつける態勢なのに、金額は遠く及ばないもんなあ。うらやましい。 ←ひとりごとです。
そうそう、私が働いている病院はこの4月から、時間外に手術とかお産などで働いた時には、時間外手当の他に仕事の内容に応じて手当が付くことになりました。緩和ケアの性質上、私の時間外勤務は看取りも多いので「看取りには手当ては付かないか」と聞いたところ、「付きません」ときっぱり言われました。心を尽くしていい仕事してるつもりなんだけどなあ。金銭で評価できない仕事なのかなあ。ボランティア活動とまでは割り切れていないんだけどなあ。誰か評価してくれないかなあ。 ←ひとりごとです。