医師の再診料(2回目以降の診察料)は、開業医の再診料を値下げして病院に合わせる方向といわれていたが、値下げ一辺倒ではなく病院を少し上げて、両方を揃えることに決まった。
記事は次のとおり。
「再診料」病院アップ、診療所下げで統一…政府・与党調整
(2008年1月14日3時0分 読売新聞)
政府・与党は2008年度の診療報酬改定で、現在、病院が570円、個人経営の医院などを含む診療所が710円と異なる価格に設定されている再診料を、同じ価格に統一する方向で調整に入った。
統一した再診料は650円〜700円程度とする案が有力だ。再診料を病院で引き上げ、診療所で引き下げることにより、医師不足問題の原因となっている病院の勤務医の負担を軽減する狙いがある。
来年度の診療報酬改定は、2月中旬に厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会(中医協)」が決定する。
再診料は病床数200未満の医療機関での2回目以降の受診の際にかかる費用。病院(病床数20以上、200未満)よりも診療所(同20未満)の再診料が高い理由について、厚生労働省は「継続的に地域の医療を支える『かかりつけ医』としての診療所の役割が、入院や救急が中心となる病院よりも、診療報酬上では重視されてきたため」と説明してきた。
しかし、1回目の受診にかかる初診料については、前回06年度の診療報酬改定で、それまで病院が2550円、診療所が2740円と異なっていた価格を2700円に統一しており、「再診料に関しては病院と診療所で違うという理由がわからない」との声があった。
また、病院の再診料が診療所よりも安いことが、患者が診療所よりも病院に通う傾向を助長し、病院勤務医の過剰な負担やそれに伴う勤務医不足の要因になっているとの指摘もある。政府・与党は、再診料の統一により診療所に患者が振り分けられる効果のほか、病院の再診料の引き上げが勤務医の待遇改善につながることも期待している。
ただ、診療所の再診料引き下げについては、開業医らの影響力が強い日本医師会(日医)などが、医院の経営悪化につながるとして反対している。前回の診療報酬改定で初診料だけの価格統一にとどまったのも、日医に配慮したという側面がある。
08年度診療報酬改定では、8年ぶりに医師の技術料を引き上げること(0・38%増)がすでに決まっており、政府・与党は、日医などに対し〈1〉再診料引き下げで、診療所の患者が増える〈2〉診療所による夜間など時間外診療や開業医による往診への診療報酬を手厚くする――などとして説得していく方針だ。
(記事ここまで)
以前は、国の診療報酬設定の基本的な傾向として、病院の診療報酬をどんどん相対的または絶対的に値下げして、開業医の診療報酬は維持または値上げするという方向であった。これは日本医師会の力が強かったからであり、また高度成長下ではどんぶり勘定でも国が運営できて大蔵省の下げ圧力が小さいこともあったのだろう。
ところが、1983年に「このまま医療費を含む社会保障費が増大していくと経済の足かせになる。医療費はできるだけ押さえ込むことが必要だ」という医療費亡国論が発表されたあたりから、「日本の医療費は多すぎる」「もっと削るのが正しい方向だ」と、国民は刷り込まれ続けてきた。そして開業医の診療報酬も、ここ数回の診療報酬改定で「値下げした病院の値段に合わせる方向で」削減が続いている。
今回は病院の再診料(現在1診察につき570円)を上げて、開業医の再診料(同710円)を下げる方向に落ち着くようだ。650円から700円の間で調整ということだから、まあまあ高めのところに落ち着くようだ。病院の診療報酬が上がるというのは画期的なことではあるが、決して喜んでいい金額ではない。
たとえば院外処方箋を病院で受け取って、院外薬局で薬をもらう。薬代の他に「処方料」というものを払う。これは薬剤師が仕事をしてもらっているのだから当然である。22日分以上の薬を処方してもらうと、この調剤料が770円である。その他に「調剤基本料」420円もかかる。決して高い金額ではないが、医師の再診料を大きく上回っている。
ついでに言えば、再診料は医師にそのまま入るお金ではない。診察に関わった看護師や事務職員、果ては医療機関の運営経費もその中から出す性質のものである。これがわずか650円〜700円で決着しようとしている。適切な医療を国民に提供するのに十分な値段だと考える人がいるだろうか。
診療報酬の決め方は昔からおかしかったが、最近はもうどうしようもないところまで機能不全が拡大しており、景気の動向などの世の中の変化にも全くついて行けない制度になってしまっている。だからといってすぐに変えられるものではないのかもしれないが、全く不十分な制度になってしまっているという認識は、持っていた方がいいと思う。