12月15日付の産経新聞朝刊に、次のような漫画が載っている。これまで産経新聞の医療報道のあり方については、さんざん抗議が届いているはずなのだが、それに対する反論なのだろうか。
これまで何度か書いているように、いわゆる「たらい回し」になる患者さんが出てしまうのは、その地域にその患者さんを診られる医療機関が存在しないという、決定的な医師不足によるものだ。決して医学部で救急患者をたらい回しにする教育をしているからではない。
現場の医師が命をすり減らして地域の救急医療を担っている。すり切れそうになった人やすり切れてしまった人、すり切れるのを避けたい人は救急医療の現場から立ち去っているが、その分救急医療を頑張っている医師の負担は大きく増えている。
子供は意味がわからなくても新聞の漫画を読む。意味がわからないと、親に「どういう意味?」と尋ねる。訊かれた親は「お医者さんがね、病気で大変な人を『診ません』って断るから、患者さんが病院に着けなくて、ひどい場合には死んじゃったりするの。その断ることを『たらい回し』っていうんだよ」と説明する。それでは子供が笑えないので「お医者さんの学校に行っている人に『今何を教わっているの?』ってきいたら『そのたらい回しのやり方を習ってます』って、たらいを回して説明してるの」って、やっぱり笑えないや。
産経新聞は何がしたいんだろう。救急医療が不十分になっていることについて、医師を悪者にするだけでは飽きたらず、医学生も、医学部も悪者扱いして、破綻寸前の状態で何とか踏みとどまっている医療従事者のやる気を奪い、総崩れにするのが目標なのだろうか。
漫画だからって、何を書いてもいいわけではない。この漫画が紙面に載るまでに、産経新聞の中では何人かの目が通っているはずだ。この漫画も含めて産経新聞の「質」が判断される覚悟で、新聞を作っているはずだ。つまりこの漫画が、今の産経新聞のクオリティーを表している。
私の目から見ると、医療に関する報道姿勢では、ここしばらくの産経新聞はあまりにもひどい(たとえば
「これ」や
「これ」)。医療はまだまだ叩けると思っているのなら、何も見えていない経済界の偉い人たちと同じレベルだ。名前は「産業経済(産経)新聞」でも、もう少しましな新聞だと思っていた。