「看護師の業務範囲拡大を『規制改革会議』が答申(?)」
ニュースへコメント
政府の規制改革会議が、これまで医師にしか認められていなかった業務の一部を看護師・助産師に移譲することで、医師不足解消を目指す案を答申。なぜ規制改革会議?
記事は次のとおり。
看護師・助産師の業務拡大=規制改革会議の第2次答申案
12月13日17時1分配信 時事通信
政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)がまとめた第2次答申案の全容が13日、明らかになった。答申案は「生活に身近な分野に焦点を当てた」とし、看護師や助産師が行える業務範囲の拡大や保育所の改革などを盛り込んだ。今月下旬に福田康夫首相に提出する。これを踏まえ、政府は2008年3月に規制改革の3カ年計画を策定する。
答申案は、医療分野では医師不足解消が最重要課題と指摘。医師の過重負担の軽減策として、現在認められていない看護師による簡単な検査と薬の処方や、助産師による会陰切開などを解禁するとした。また、地方の医師不足を補うため、現在医療機関に限定されている医師の派遣業務を一般の派遣業者にも認めることを検討する。(記事ここまで)
記事では簡単にしか触れられていないが、答申案の内容にはうなずけるものも多い。出産時の助産師による会陰切開などは、このためだけに医師が呼ばれるよりは、いざというときのために産科医を温存しておく方が良いと私も思う。
他の職種でもできる医師の仕事を他の職種に回すのは良い。しかしこれまでは、すべての医療の責任は最終的に医師が負っていた。医師不足対策のために仕事を別の職種に回すなら、その責任の所在も回した先の職種に一緒に回してほしい。その仕事はしなくてもいいが何かあったら責任だけは取れといわれると、それなら自分でやった方がマシと考える医師は多いかもしれない。
気になるのは、なぜ「規制改革会議」がこの答申案を出すのかということだ。「生活に身近な分野に焦点を当てた」というのが本心なら、それはありがたいことだ。しかし規制改革会議である。
規制改革会議といえば、混合診療(解説記事は
こちら)解禁を強硬に主張している会議だ。混合診療の解禁は、保険診療の縮小、つまりは「お金持ちでない人への医療の縮小」を招く。
規制改革会議や経済財政諮問会議、財政制度等審議会などの各種諮問会議を押さえている今の経済界は「みんなでお金持ちになろう」ではなく「一握りの勝ち組のための経済構造にしよう」の理念で動いている。そのため、どうも規制改革会議が医療に口出しをすると、ろくなことにならないような気がしてしまうのだ。
私は基本的に、米国から出される年次改革要望書や、経済界のトップにいる一握りの人が、日本の医療の行く末を決めるべきではないと思っている。日本の医療はここまでかなり真面目に、上手に国民を守ってきた。各種諮問会議が出す案は、これまで日本が積み上げてきた医療より優れているとは、どうしても思えないのだ。
もちろん今の医療がベストだとは思っていない。無尽蔵に医療にお金をかけられないこともわかっている。その中で工夫をしていくのに、どのようにするのが良いかは、医療の外にいる人が考えるべきではなく、少なくとも医療に密接している経済人が考えるべきだ。
もしかしたらいいことを言っているのかもしれないが、規制改革会議が言っているというだけで「何か医療の大切な構造を破壊するたくらみが、裏にはあるのではないか」と思ってしまう。この短い記事では、どのような裏があるのか、それともないのか、読み取りようがない。