国民新党の亀井静香金融・郵政担当大臣が、さまざまな発言を飛ばしまくっている。その中から2つ拾ってみた。
まず一つ目はこちら。
<亀井金融担当相>「家族間の殺人事件増加」で経団連を批判
10月5日21時14分配信【毎日新聞】
亀井静香金融・郵政担当相は5日、東京都内で行われた講演会で、「日本で家族間の殺人事件が増えているのは、(大企業が)日本型経営を捨てて、人間を人間として扱わなくなったからだ」と述べ、日本経団連の御手洗冨士夫会長に「そのことに責任を感じなさい」と言ったというエピソードを紹介した。御手洗会長は「私どもの責任ですか」と答えたという。
会員制情報誌「内外ニュース」主催の講演会で述べた。亀井担当相は御手洗会長との会談時期については明らかにしなかったが、関係者によると、8月の衆院選前とみられる。
亀井担当相は講演で「昔の大企業は苦しい時に内部留保を取り崩して下請けや孫請けに回した。今はリストラだけをしている」と話し、昨秋以降の経済危機で、派遣契約解除などをした大企業の批判を展開。「(大企業が)小泉改革に便乗して日本型経営を捨てたことが社会をおかしくした。責任を感じなければだめだ」と企業の経営姿勢や経団連を批判した。【井出晋平】
(記事ここまで)
亀井大臣が言っていることは極論ではあるが、個人的には賛同できる部分もある。日本の社会が金儲けと効率を重視しすぎたために、本当に価値があるもの、人間の本当の実力などが軽視されるようになってきたと、私も感じている。
経団連の御手洗会長は「私どもの責任ですか」と答えたという。そりゃそうだろう。御手洗会長は、大昔は違ったような気もするのだが、最近は「日本の文化や伝統が大事にしてきた良いもの」を感じ取るチャンネルが「ない」人になっているように見える。その人に何を言っても、共振するものはないだろう。
亀井大臣が暴走しているように見える人もいるだろう。でも、日本の社会の中で、経済的に勝っているのは誰か、負けているのは誰か、ほくそ笑んでいるのは誰か、悲しい顔をしているのは誰か、そしてそれはどのような社会の仕組みによってもたらされたかを考えれば、暴走とは言い切れない。態度はいただけないけど。
次はこちら。
亀井氏「日銀は寝言言うな」 出口戦略は時期尚早?
10月6日12時51分配信【産経新聞】
日銀が金融危機対応策として実施してきた、企業発行のコマーシャルペーパー(CP)と社債を市場から買い取る措置を年末で打ち切る検討に入ったと報じられていることについて、亀井静香金融担当相は6日、「日銀は寝言みたいなことを言う」と批判し、「景気が回復過程に入っているとは思わない」として、緊急時の措置を通常に戻す「出口戦略」は時期尚早との見方を示した。
また中小企業向け融資や個人向け住宅ローンの返済を猶予する「モラトリアム法案」については、対象を保険会社や住宅ローン支援会社など、預金取扱金融機関以外にも広げる意向を示した。ただ亀井金融相は「消費者ローンは含めない」とも述べており、流動的な部分も残っている。
一方、返済猶予対象となった債権を不良債権と見なさないとする亀井金融相の方針に対し、金融界から「日本の金融機関の信頼性を損ねる」といった懸念が出ていることについて、「おかしいとは思わない。(外資も)『郷に入れば郷に従え』だ」と述べた。
(記事ここまで)
米国の出口戦略は、出口戦略それ自体が次のバブルを織り込んだ世界戦略だ。これが成功しなければ、米国経済は次の急落を迎え、ドル暴落や米国債の紙切れ化が避けられない。オバマ大統領は「金融証券マンが巨額の報酬を得るのはいけない」と言っているが、ではオバマ大統領が証券金融業界に冷や飯を食わそうと思っているかというと、そうではない。
オバマ大統領を取り巻く経済ブレーンは、ほとんどが証券金融バブルの達人だ。どのように世界の人々を納得させつつ「コントロール可能なバブル」を作ろうかと策を練っている段階だと思うが、人々の欲望をコントロールできないからバブルになるのだという基本的な構造と相反するので、うまく行かない可能性も高い。
翻って日本の金融政策を見てみると、専門家でない私が見ても、米国だけでなく各国と比較してお粗末な気がする。「出口戦略」というが、「出口」に対する明確なイメージもビジョンもなく、「戦略」というより店じまい。これでは、出口戦略というよりは夜逃げ作戦と言った方がピッタリくる。
全体を見ると、世界の中で日本の景気回復の遅れが目立っている。これは、私の一面的な見方かもしれないが、製造業の設備稼働率がフル稼働には程遠い7割台にとどまっていること、つまり現在の需要に対して設備過剰になっていることが、大きく影響しているのではないかと思う。
今のタイミングで「出口戦略」なんて言い出されたのでは、何とか踏ん張っている日本の製造業の多くが、店をたたまざるを得なくなる。日本の製造業は、全部合わせれば日本の巨大な財産である。日本だけでなく、世界の貴重な財産でもある。それをバタバタ倒れさせてしまうのは、将来を考えれば大きな損失である。
というわけで、亀井大臣は態度も表現も上手ではないと思うが、今回の発言に関しては、おおむね大臣に同意。日銀も「戦略」といえるような戦略を駆使して、日本の経済を弱体化させないように動いてくれないかなあ。