カフェで「けんちく」を語る「けんちくの手帖」にコーディネーターとして出席する。ゲストは一緒に「けんちくの手帖」を運営している吉永健一さん。
吉永氏が主宰している「キョート*ダンメンロシュツ」プロジェクトを紹介してもらった。一緒に活動しながらも、これまで吉永氏のプロジェクトをじっくり聞いたことがなかったので、非常に興味深くプロジェクトの内容を聞かせてもらった。
京都の長屋が1軒だけつぶれて駐車場になるとする。すると、駐車場の両サイドには長屋の壁が立つことになる。その壁には、かつてその場所に立っていた住宅の断面が残ることになる。その断面、実はかなり多様なバリエーションがあるのだ。
シンプルな家型から増改築を繰り返した跡が見える断面まで、京都の断面にはその場所で繰り広げられた生活の跡が露出している。「キョート*ダンメンロシュツ」プロジェクトの魅力は、ややプライベートな断面を垣間見るところにある。
一般に、京都の町屋や長屋は敷地境界線ギリギリまで建てられているため、家の「ウチ」と「ソト」というプライベート/パブリックの境界がはっきりしていると言われている。プライベートであるウチから扉を開けて一歩踏み出せば、即座にパブリックであるソトへ飛び出すことになる。中間領域となるセミプライベート空間やセミパブリック空間が無い。道を歩いていても、道路空間というパブリック空間を除けば、あとはプライベートな室内空間しか見当たらない。お屋敷を除いて、家の前庭などというセミプライベートな空間はほとんど見当たらない。
そんな京都で断面を観察し続ける吉永氏は、きっと京都の町のセミプライベート空間を見出しているんだろうと思う。空間というにはあまりに二次元的であるが、建物の壁に残された断面から、その場所で営まれていたプライベートな生活を読み取っているのである。
京都にもセミプライベート空間があった。それは僕にとってちょっとした発見だった。

京都の断面露出