芦奈野ひとしというマンガ家に
『ヨコハマ買い出し紀行』(全14巻,講談社)という作品がある。温暖化が進行し,次第に陸地が水没していく地球を舞台にし,「ロボットの人」アルファを主人公にした「SF」なのだが,描かれる世界は,むしろ,私たちにとって「失われてしまった過去」を思わせるのんびり,ゆったりとしたもので,不可思議な手触りを持った作品である。
ヨコハマ買い出し紀行−Wikipedia
その作品の登場人物のひとりに
「子海石(こうみいし)先生」という老いた女性医師(ただしロボットも治す)がいる。主人公であるアルファ・タイプのロボットの初期型開発にかかわったらしい。
そんな彼女が,学生時代に自らのトレード・マークとしたのが,以下のようなもの(パワポで作ったので,いまいち雰囲気が違ってしまっているが)。
彼女曰く
「あっちこっち見て歩いちゃ,よろこんでいる奴」という意味とのこと(6巻第53話「先生のマーク」)。そしてこのマークを描いたペンダントは,最終14巻第132話「見て,歩き,よろこぶ者」というタイトルのエピソードで,子海石先生からアルファへと贈られる。
「私の目と足を未来へ連れて行って」という言葉とともに。
「見て,歩き,よろこぶ者」……子海石先生は医師だけど,フィールドワーク系研究者の「根っこ」も,もしかすると,そんなものなのかもしれない。