鯵ヶ沢駅(五能線)
鯵ヶ沢駅の改札口の右上には郷土力士の写真が飾られており、胸を張った力士が、改札を通る客を眺めている。
私も彼に見送られて改札を通り、ホームで待っていると、リゾート列車が3両編成でやってきた。この列車は人気があるらしく、五能線の列車にしては珍しく混んでいる。
乗り込んでしばらくすると、私が座っている先頭車で、津軽三味線の生演奏を行う旨のアナウンスがあった。アナウンスに従って前の方を見ると、運転席の後ろのスペースで、Tシャツを着てバンダナを巻いたおばさんと若い女の人が、いつの間にか三味線を抱えて調律をしている。彼女らも鯵ヶ沢からこの列車に乗り込んだらしい。
やがて、おばさんが「はっ」と気合を入れ、2人で三味線を演奏し始めた。
三味線の良さというのは、よくわからない。よくわからないなりに、彼女たちが演奏しているのを眺めるが、特に感慨は湧かない。
3分ほどで1曲終わったが、2人の演奏は、微妙にタイミングがズレており、おばさんは少し焦っているようにも見える。2曲目が始まり、先ほどの曲と似たようなメロディーが流れ始めたので、私は少し飽きがきて車窓に目を転じた。
すると、どうであろう。灰色をした厚い雲の下、勢いのない稲が立ち並ぶ田が窓外を流れるにつれ、愁いを帯びた三味線の旋律が景色に溶け込み始めたのである。津軽三味線の調べが、津軽の風土性を旋律で表現したものであるということを私は実感として味わった。
旋律が高くなり、低くなり、列車のレールを刻む音と相まって、図らずも胸に熱いものがこみあげてきた。
たまに、テレビなどで津軽三味線の演奏が流れると、そのときのことを思い出す。が、やはり、あの光景が目の前に広がらないと、なかなか感情移入はし難いと思う。

(鯵ヶ沢駅舎)

(鯵ヶ沢駅のホームに入ってきたリゾートしらかみ号)

(リゾートしらかみ号の中で演奏される津軽三味線)
(2006年9月18日)
弘前駅前708(頃)=(弘南バス)=740@板柳755-759@林崎826-830@藤崎944-1035@鳴沢1058-1111@中田・・・(3分)・・・中田バス停1155=(弘南バス)=1200森田駅通り・・・(2分)・・・@陸奥森田1219-1223@越水1251-1322@鶴泊1335-1416@鯵ヶ沢1439(30分遅れ1509発)-(リゾートしらかみ3号)-1504(30分遅れ1534着)@五所川原1612(14分遅れ1626発)-1619(14分遅れ1633着)@陸奥鶴田1640(10分遅れ1650発)-(リゾートしらかみ6号)-1655(10分遅れ1705着)@木造1734(56分遅れ1830発)-(リゾートしらかみ5号)-1813(54分遅れ1907着)川部1901(7分遅れ1908発)-1949青森