五能線全駅特集第6回
東八森駅(五能線)
舗装されていないホームに1両きりの気動車から降り立ち、正面に聳えるなだらかな山に眺められながら、直方体の箱のような駅舎に入った。壁際に並ぶ椅子の上には、地元の人が作った座布団が置かれている。
駅の掲示によると、山は、薬師山というのだそうだ。居心地の良い駅舎の中で暫しくつろいでいると、その山から下ってきた風が駅の中を通り抜ける。爽やかな涼しい風である。
その心地良さにしばらくぼーとしていると、ふとあることを思い出した。
私がまだ大学生だった頃、一緒に麻雀なぞをして遊んでくれた地理学の大学院生から聞いた話である。調査のため全国を飛び回っていた彼の実体験からすると、夏でも概して涼しいと感じるのは、北緯40度よりも北の地域なのだそうだ。それより南は、北陸だろうが九州だろうが、どこも夏の暑さはほとんど変わらぬらしい。
その北緯40度は、秋田県の八郎潟と、岩手県の三陸沿岸の普代とを真横に結んだ線である。そういえば、ここ東八森は、それよりも30〜40km北寄りに位置する。
その大学院生は、日本海沿岸美人一県おきの法則というのも教えてくれた。東北から近畿まで、日本海に沿って一県おきに飛び飛びで、美人の多い県が分布しているのだそうだ。
どの県がそうなのか、あるいは、そうでないのか、具体的にいちいち指摘すると弊が多いので言うを憚るが、この法則に拠ると、私がいる場所は、美人が多い方の県に属する。
しかし、その法則を今ここで検証しようにも、昼下がりの田舎の無人駅に人の姿は見えず、ただ駅の周りに植えられた稲が、風になびいているばかりであった。

(東八森駅ホーム)

(東八森駅舎)

(ホームから見た薬師山)
(2006年6月23日)
-1340@岩館1347-1406@東八森1415・・(自転車)・・1440@沢目1459-