「あなたはこの方とどういうご関係で?」
やがてここに還る約束
「お友達…でしょうか」
「普段から特に親しくなさっている方でしょうか?」
「時たま話をするだけのお友達でした…けど」
「…けど?」
「誰よりも私に近い方でした」
私が答えると質問した体格のいい草臥れた男は一枚のメモを取り出して私にひらり、と差し出して見せた。
「ならば、このメモの意味をお分かりになりますかな?」
一、金木犀を食んで待ってる
「…いいえ。私には分かりかねます」
「…でしょうな」
「そう思ったのに御見せになるんですね」
「まぁ…それが仕事ですからな」
”にげて”
「他にもたくさんメモはあるんですよ」
「…すべて私に見せるために?」
「ええ。他にこの方の顔をご存知の方が…「いない…のでしたね」
男の言葉を切って答える。
さっきも聞いた説明を二度も受けるつもりは毛頭ない。
それに私は最後まで話を聴くことはしない。たとえ聞くことがあったとしても。
「それでは、続けてご覧ください」
ガラス玉が弾けて視界が咲く
嗚呼 アアあアぁああァ
「まだ、あるんでしょうか…?」
”そのことばをみないで…!”
「まだまだですよ」
二、水たまりのほとりで
視得ないから欝くしいのに
視得ないものが かがみこんでくる
「…まだあるんですか…!」
”さいごまでみてしまったら…”
「まだまだまだ」
三、誰もいる独りない
芽と目がぶつかる。いなくなる。
賭けても輪っても最期は々(おなじ)
”あなたは…!”
「さて、これで最期です」
「え…?」
御還りなさい
私はいったいここで何をしていたのか。
あの男は何を伝えに来たのか。
私に囁きかけていたのは誰だったのか。
そんなことはどうでもいいのです。
私はもうここにはいないのですから。