『最悪』
箸:奥田英朗 講談社
お薦め人:山下夕佳
あれは1年前だったか、2年くらい経つのか、随分評判になったし、確か何かの賞も取ったのだったと記憶している。
私の家族はニセインテリ家族なので「山下家版太鼓判」の様な会話を好んでする。本、映画、舞台や絵画など、最近自分が出会ったオススメ物を互いに押し付けあう。父の好みは少々カタく、母は少女→オバサン路線で私の趣味の対象外。そこで弟の登場である。彼は非常に雑食で、SFから歴史物からファンタジーからハードボイルドから……とにかく食って、そしてどんどん変なヤツに成長していく。しかしながらそのエサを見つける嗅覚はなかなか鋭い。私は全幅の信頼を寄せている。
その彼が私に太鼓判を押して勧めたのが『最悪』という本である。作者は奥田英朗。これは最高に面白かった。日本のどこにでもいそうな4組位の登場人物達が、自分の身の回りに起こる小さな(?)事件にどんどん巻き込まれていく。非常にスピード感のある最悪ぶりに、読みながらこっちは「うわぁ、最悪だぁ!」と、応援とも同情ともつかない、誰に感情移入してるのかもわからない気持ちを抱きつつ、一気に読み進む。何人分もの感情がぐるぐると駈け巡った読後感はかなりグッタリしたもので、そこもなかなかの「最悪っぷり」である。
ちなみにこの原稿を書く為に図書館で順番待ちして借りた彼の新作(?)『邪魔』は、イマイチの邪魔っぷりだったな。