〜 豊穣の地に咲く魔花 〜
豊穣の地、タリオ。その名の通り緑の広大な大地が広がる街。そこの宿の一室にルナとゴリガンは居た。
「やれやれ。今回ばかりは駄目かと思いましたぞ…。」
まるで自分が先ほどまで戦っていたかのように、ゴリガンは疲れ果てたように言った。そうして当の戦っていた本人であるルナは「そうね」と適当に相槌を打つだけだ。
このタリオの地にもセプターは居た。生物に寄生する「デラネシア草」に寄生された農夫オライリー。そうして、またもやルナの前に現れた竜眼のゼネス。オライリーに根付いたデラネシア草は大輪の花を咲かせていた。そうして彼はその花を世界に広めるのだと語り、ゼネスは相変わらずルナを倒す事に執着して引く様子もない。
かくして戦いは始まったわけである。
今まではそれほど苦労もなく勝って来たルナであったがこの地では違った。…苦戦したのである。
オライリーが面白いようにゼネスの領地で大量の魔力を失ったためだ。その魔力でゼネスが土地にどんどん魔力を注いでいくものだから、スタートダッシュに欠けるルナは差をつけられてしまった。この時点でほぼオライリーは脱落しているわけだが。それからルナも土地の連鎖を築き、魔力を注いでゼネスに追いついた。
…追いついたのだが。
その時にはすでにゼネスは勝利条件を満たしていた。後はルナとゼネスどちらが城に戻るかだ。ほんの少し先行しているのはゼネス。しかしそこでルナが手にしたカードは。
スペルカード「ヘイスト」。
そうして、僅差でルナは勝利を収めたわけである。
「本当に今回は肝が冷えましたわい…。所で、次はどこに向かいますか?帰らずの森ビスティーム、灼熱地獄と呼ばれるギルマンにセプターの反応がありますが…。」
「…どっちに行っても竜眼には会いそうよね。どっちでも良いんだけど、取り合えず一度ロカに戻るわ。」
その言葉を聞いてゴリガンは少しばかり驚いた表情を見せた。そうしてルナにどうしてかと、問う。
「…父さんと母さんの命日が近いの。毎年、お墓に花を供えているからどうしても戻りたいのよ。」
「そう、でしたか…。」
そうとなれば、ゴリガンが無理を言う訳にもいかない。ルナの気持ちも考え、ゴリガンは「分かりました」とだけ答えた。
そうして、次の日。タリオの街を出ようとしたところに声が掛かった。
「ああ、間に合っただ。ルナさんに渡したい物があるだよ。」
小走りでルナたちに駆け寄るオライリー。そのたびに魔花が小刻みに揺れていた。
「オライリーさん、どうしたの?」
「おら、あんたにえらい迷惑かけちまったから…少しでもお詫びをしたくて、これを持ってきただ。」
振り向いたルナにオライリーが差し出したのは。
色とりどりの美しい花。太陽の光と、愛情を受けて育ったであろう花たち。
「これはおらの畑で育てた花だ。…貰ってくれるか?」
そっと差し出されたその花をルナは両手で受け取った。
「いい匂い…。それにとても綺麗な花ね。ありがとう、オライリーさん。」
そっと花に顔を寄せ、そう言ってルナは微笑む。その様子を見てオライリーは満面の笑みを浮かべた。
「気に入ってもらえて、良かっただ。旅の目的が果たせる用、おらも花も祈ってるだよ。気をつけてなー。」
手を振って見送ってくれるオライリーを背にルナとゴリガンはタリオから発った。そうして少ししてルナが呟く。
「少し心配してたけど…、大丈夫みたいね。」
「デラネシア草の事ですな?オライリーの体に深く根付いているためあのままにしておきましたが…。彼も正気を取り戻しているようですし、問題はないでしょう。」
その言葉にゴリガンも軽く頷く。
オライリーから受け取った花はとても優しい匂いを放っている。それは彼の心をそのまま表しているような気がして。それを考えるとあのデラネシア草をままにしておいても、何と無く安心できるような気がした。
オライリーなら、あの魔花すらも優しく変えてくれるように思えて。
一度だけ振り返れば街に戻るオライリーの背で、白い花が小さく揺れていた。
・後書き
えーと、久しぶりのカルド1小説です。タリオ編と言うことでオライリーとのやり取りを書いてみました。小説にも書いている通り、本当にギリギリでしたタリオでの戦いは…。それはともかく、最近カルド触ってもいませぬ。(駄)セカンドのCPU同士の試合は良く見るんですけれどね、暇つぶしに。次はストーリーモードから離れますがロカに戻ってゼネストのやり取りとか書きたいなー、と。何時になるか分かりませんけれど…。(遠い目)