看護師や研修医などの医療従事者が時間外労働をした場合、時間外手当を払わなかったり値切ったりすることはどこの病院でもおこなわれているものと思って泣き寝入りしてきたが、是正する動きが全国あちこちで出てきた。
1つ目の記事。
病院超勤手当約1100万不払い 無断で対象時間減らす
2008年7月31日【共同通信社】
横浜市は31日、市民病院で看護師約250人に対し、2年間で約3700時間分に当たる約1100万円分の超過勤務手当の不払いがあったと発表した。不払い分は9月に支給する。
市によると、看護師がシステムに入力した超過勤務を承認する看護師長31人中21人が、本人に無断で超過勤務を減らしたり、承認を忘れたりしたという。
市は「職員1人当たりの超過勤務を月10時間の目安に管理していた。時間管理が強調されすぎたことが原因」と釈明し看護師長らの処分を検討。看護師長の上司に当たる副看護部長から超過勤務を減らすよう指示されたと話している看護師長もおり、調査を進める。
今年1月、看護師から病院への連絡で発覚。システムにデータが残っていた2006年1月-07年12月の超過勤務を調査した。
(記事ここまで)
続いて2つ目の記事。
残業代約1億3000万を不払い 広島県立病院が研修医に
2008年7月31日【共同通信社】
県立広島病院(広島市南区)が研修医の残業代を払っていなかったとして、広島中央労働基準監督署から2月に是正勧告を受けていたことが30日、分かった。
不払い分は1年10カ月で約1億3000万円に上るといい、県は同日、退職者を含む79人に全額支給すると発表した。
県によると、広島病院は週30時間勤務の非常勤職員として研修医を受け入れているが、時間外や休日の診療は残業として扱っていなかった。
勧告後、2006年4月から08年1月の勤務実態を調査。100人のうち申告のあった79人について、手術記録などから計約4万2600時間分の不払いを確認した。県は9月議会に補正予算案を提出する方針。
県立病院課は「是正勧告を重く受け止め、現在は時間外労働時間の適正な管理に努めている」としている。
(記事ここまで)
さーて、今までは「不払いが当たり前だった」医療機関の人件費不当削減が、どんどん明るみに出るようになってきた。そして、労働基準法で定められているのだから当然ではあるが、不払いとなっていた賃金を支払う動きも活発になってきているようだ。
以前にも書いたが、私の境遇でいえば真夜中に呼ばれて出てきて働く時の時給が2000円というのは、労働基準法に違反している。最近は切られなくなったが、毎月一定時間以上の時間外勤務はなかったことにするというのも、労働基準法に違反している。だいたい時間外労働に関する労使協定(通称36協定)を結んでいないことからして違反である。
国が決める医療の診療報酬(医療の値段)が激安なもんだから、医療機関の経営が苦しいのはよくわかる。しかし労働者の人権を踏みにじっていい理由にはならない。適切な労働への対価を支払えないような診療報酬設定ならば、その設定が間違っている。そのようなことをして医療費を抑制しても、税金で補填したのでは見かけ上の抑制にしかならない。
不払い賃金の請求は、2年以上はさかのぼれない。働いた分の賃金は、請求する権利があり、受け取る権利がある。でも要求すれば、事務方や病院幹部に睨まれて働きにくくなったりするかもしれないと思うだけで、要求する勇気が出なくなってしまうんだよなあ。なんとか医療従事者への時間外手当をきちんと支払うのが常識にならないものだろうか。
ほかの業種でも不払いが当たり前だったところが払うようになってきたりしているので、何とかなるかもしれないと思ったり。でも労働基準監督署の管轄が、医療の値段を決めているのと同じ厚生労働省だからどうにもならないかもと思ったり。
労働基準法の枠内で働けるようにするか、労働基準法で定められている時間外手当をきちんと支払うようにするか、せめてどちらかだけでも、何とかしてくれませんかね。厚生労働省さん。