人は、その脳の特質上、時にミスを犯してしまうものである。
ミスを犯す脳のメカニズムについては本題では無いので省くが、
基本的に、人はミスを犯すものであるという事を前提として、
その影響や損害、被害を回避し、あるいは最小限に抑えるという
立場が、フェイルセーフのシステムである。
これは、様々な分野で適用されているが、特に生命に関わる
事故等については、一般的となっている。
結論から言うと、フェイルセーフは、人がミスを犯しても
よいようにということではなく、人が出来る限りの注意を
払う中で、予期せぬミスが発生した場合に、その効力を
発揮する。
そもそも、予め失敗する、ミスをする事がわかっていて、
失敗やミスをする事はない。うっかりミスを含め、
予期せぬ失敗、思いも寄らぬミスが殆んどである。
つまり、直接的間接的を問わず、どれだけミスや失敗の事例を
認識し、それがもたらす悪い結果について自覚しているかが、
大きなポイントとなる。
同じミスを繰り返す人は、そのミスによってもたらされた
悪い結果が軽微なものであったか、もしくは、反省するほどの事も
無いという自覚レベルであるからだろう。
懲りないということは、同じ失敗を繰り返す元となる。
買い物しようと町まで出かけたサザエさんが、財布を忘れて、
愉快だなどと言っている場合ではない。
仕事であれば、出かけた先で済む業務が、戻ってまた出直すという
三度手間となり、時間、経費の上で、これほどの無駄はない。
失敗は誰にでもある。むしろ当然の事である。大事なのは、
同じ失敗を繰り返さない事。それは貴重な自身の体験に裏付け
られているのであるから、わざわざ繰り返す必要は無い。
そして出来る限り、失敗の実例に学ぶ事である。自分が直接経験
しなくとも、様々な人が様々な失敗を経験している。
その実例を学べば、未体験のことであっても、注意すべき点が
見えてくる。
成功談よりも、失敗談にこそ学ぶべきことが多いのである。
断酒している我々は、スリップという、再飲酒の失敗を自ら
経験するも良し、他人の経験を聞いて学ぶのも良し、要するに
自身の断酒継続に繋がっていくのであれば良い。
私は、スリップについては間接的に多くを学ばせて頂いた。
自分の中では、毒を飲めば苦しむという、ごく単純且つ当然の
事として認識している。わざわざ、実際に直接体験して
立証しようとは思わない。
ただ厄介なのは、未体験の事については、好奇心が頭をもたげる
事がしばしばある。また、そのつもりは無くとも、つい魔が差して
という事も無いとは言い切れない。
我々にとっては、抗酒剤がいわゆるフェイルセーフと
なるのであろう。お守りといわれる所以である。