<これから物語る時代には、町はどこも、
現代の私たちにはおよそ想像もつかないほどの悪臭にみちていた。>
香水―ある人殺しの物語
映画
パフューム−ある人殺しの物語-(公式HP)の原作。
ただいま17年ぶりに再読中。読み進むのがもったいない程好き。
何の前知識もなしにこの本を選んで、興奮しながら読んだ時間は
本当に幸福だったと思います。文句ナシのばらゆり文庫殿堂入り作。
すごい本見つけちゃった!自分は天才だわ!とばかりに、友達にも
薦めました。いや、私が知らないだけで評判の本だったんですけど;
私は翻訳モノは大人になってからようやく読み始めた人間ですので
ビギナーズラックってヤツだったのでしょう。(笑)
映画化で一気に有名になりそうなので、原作を紹介しておきます。
これ以上の傑作は世の中に幾冊もないと思うので、一生涯のうちで
メガトン級の面白い本に出逢う機会を1つ失う覚悟で読まないと!
・・・でも、好みの分かれそうな本なんだよなぁ。(苦笑)
“匂い”を“読む”面白さに充ち満ちた1冊です。
パトリック ジュースキント, Patrick S¨uskind, 池内 紀 / 文藝春秋(2003/06)
Amazonランキング:49位
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18世紀、フランス革命のちょっと前の、臭いパリが舞台。
本文開始2頁目(単行本P.6)の圧倒的な匂いの奔流は必読。
読みながら口呼吸に切り替えたくなる。(笑)
ある人殺し=主人公・グルヌイユ(仏語で蛙のコト。)には匂いが無い。
排泄物や分泌物の匂いはするけれども、彼には匂いが無い。
かつ、彼はパリ一の鼻の持ち主。いや、世界に1つだけの鼻。(ベタ…)
数千の匂いを嗅ぎ分けること、それらを脳内で再生すること、
それらを組み合わせて妄香(笑)の世界で遊ぶことが可能な奇才。
絶対嗅感の持ち主かつ天才作香家ってところでしょうか。
聴覚で例えるなら犬笛が聞こえちゃうレベル。人間離れしてます。
そんなグルヌイユにとってパリは花の都ならぬ鼻の都。(ベタベタ…)
彼の密かな野望とは?そして、それは成就するのか?
後はもう、気になる方は本を読んでね!です。←ヒドイ
“匂い”や“香り”はそのまま言葉には出来ないものなので、
読み手は書かれた言葉によってそれを頭に思い浮かべるわけです
が、描写によっては、そのままの“匂い”を嗅がされるよりも、
数倍豊かな“匂い”を想像することも可能ですよね。
何だか自分の“匂いの引き出し”を試されている気がしてくるし。
パトリック・ジュースキント恐るべし。他の作品も面白いですよ。
語り口調がとても心地よい本です。池内紀・訳も安心して読めます。
映画の出来栄えは知らないんですが、これは語りの面白さが
冴えている本なので、ワタクシ的には朗読CDが欲しいかも。
あんまり芝居がかっているのはイヤだから、長塚京三さんが
「そうだ、京都行こう」くらいのテンションで読んでくれたら嬉しいな。
18世紀のパリはビジュアルもとても魅力的なので
そういう点では、映画を見てから読むのもいいのかもしれません。
当時の生活ぶり、町並みや調香の道具など思い浮かべ易いし。
しかし既に読んでいる方は、読んでから見るのが◎だよ、フフフ…と
思っているのではないでしょうか。あの楽しみは。ねぇ?
映像に携わる人間ならば勝負したくなる原作だとは思うけど。
野心作には間違いないので、映像化が成功していることを祈ります。
映画館に見に行きたいなぁ、とは思っているのですが、予定は未定。
“匂い”を“見る”楽しさを提供してくれる作品なのだろうか?
ここから先はオマケです。匂いつながりで幾つか。
トム ロビンズ, 高見 浩 / 新潮社(1989/11)
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中世、近世、現代にわたるミステリー

英語が苦手でも読むべき!

ロビンスの真髄ここにあり
この記事を書くために検索していて知ったのですが、
『香水ジルバ』が絶版なんて!ダメじゃん!新潮社!
データは読めるので一応、アマゾンへのリンクは貼りました。
これもまた好きな本です。『香水』ほどストレートに
匂いの話ではありませんが、香水狂想曲♪ってカンジで楽しい。
ビギナーズラックのうちの1つですね、懐かしい。
原田 宗典 / 講談社(1992/06)
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これはグルヌイユとは真逆の、
鼻の利かない臭い男の悲劇とか喜劇とか。
ホラ話としてさくさく楽しめばいいんじゃないかと。
嫌われ者の話として読むと痛くなり過ぎちゃうから。
原田宗典作品は平たい言葉で生理的な恐怖を突いてくるから
ただただ笑い話、としては読めないんだよなぁ。
相性が良いのか悪いのか・・・。良いんだよ。(笑)
『
MEMORIES』の「最臭兵器」を見た時、この本を思い出してしまった。
『
アロマパラノイド―偏執の芳香』 牧野修・著 角川ホラー文庫
これも天才調香師が登場する嗅覚モノなので挙げておきますが、
嗅覚モノとしてより、電波系として面白い。“芳香”より“偏執”に
ウェイトが。(笑)この人の電波系ホラーは濃ゆくって好きです。
人間の脳はどうして嗅覚情報を重視しないのかなぁ?
脳が重視しないから退化したんだと思うんだけど。
違うのかしら? いや、よく知らないケド。
幻視、幻聴は聞くけど幻臭ってあんまり聞かないし。
ポルターガイスト現象って匂いもするんだっけ?
匂いの幽霊のホラーとか面白そうなのに。
「音はすれども姿は見えず、ほんにあなたは〜」とは云うが
「匂いはすれども姿は見えず、ほんにあなたは〜」とは
云わないしねぇ。・・・何か違うぞ、私。